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『きのう何食べた?(14)』(よしながふみ/講談社モーニングコミックス)感想【ネタバレあり】

きのう何食べた?(14) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(14) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(14) (モーニング KC)

きのう何食べた?(14) (モーニング KC)

 
『きのう何食べた?(14)』の感想です。
今回、美容室の店長・ヒロちゃんと玲子さん夫妻の話がいよいよ決着。
ホラーだホラーだと言いつつもなんだかんだで楽しんでいたから、この先この二人のエピソードが見られなくなるとしたら残念。
ケンジはとんだ巻き込み事故でしたが(笑)。
 

『きのう何食べた?(14)』(2018年7月23日発売)

総評

今回なんと言っても一番印象に残ったのは#112。
玲子さん、あまりに手際が鮮やかすぎて茫然としてしまいました。
ヒロちゃんも寝耳に水だったからショックもでかい(他の人は全員気づいていましたが)。
しかし離婚劇までは想定内でしたが、ケンジがああいう形で巻き込まれるとは思いませんでした(笑)。
さすが、よしなが先生、稀代のストーリーテラー。
 
そして筧家のお墓の話も凄かった。
お母さん、どうしてそうなった!?
お宅訪問よりも墓の方がハードル低いとは……、人の価値観ってそれぞれ違うから本当に不思議。

基本的にまったりムードだけれどたまに爆弾落としてくるから、このシリーズは本当に油断できない。
まあ、そのメリハリが大変クセになるのですが。
 

#105感想

シロさんが佳代子さんにつくだ煮の詰め合わせをいただく話。
毎度おなじみ佳代子さんからのおすそ分け。
シロさんと佳代子さんがおしゃべりしている様子、主婦の井戸端会議そのまま(笑)。
孫の悟朗君も来年小学生になるって早いですなぁ。
すっかり親戚か近所のオバちゃん気分が定着。
我が家には子供がいないのでシロさんと同じくランドセル事情には疎いんですが、普通のでも4~5万もするんですか!?
ひぇぇえぇ、でもあれだけ凝った作りなら仕方がないか。
買ってあげるおじいちゃんおばあちゃんも大変。
しかし、佳代子さん曰く、青地に暴走族みたいな刺しゅうの入ったのってどんなヤツ!?(ちなみに気になったのでググってみたら、スゴイのがいっぱいヒットしました)
佳代子さん、娘さん夫婦に嫌われたくなくて実家に呼ぶ回数を調整しているようですが、大丈夫、ミチルちゃんなら来たくなかった来たくないってズバッと言うから!!(大丈夫なのか?)
 
今回の料理は白がゆ、温泉卵、厚揚げのケチャップいため、ニラの梅のり和え、佳代子さんからもらったちりめん山椒&しいたけ昆布。
きちんと盛り付けされていて、旅館の朝ごはんみたい。
お盆休みの初日という事で、特別感ありますね。
シロさん、おかゆは炊飯器で簡単に作れるのに、ケンジの乙女心を慮ってあえて土鍋で炊いているのが愛だな。
 

#106感想

志乃さんちの妊活問題の話。
周平さんの気持ち分かるわぁ。
彼は志乃さんの実家の従業員でご両親との関係も深いから、色々と悩んでしまうんでしょうね。
元々真面目な人だし、周りも悪気はなくとも話を振ってくるし。
実のお母さんに言われるのも正論なだけにキツイ。
こういう気苦労は男女問わず共通ですね。
志乃さん自身は若いのでピンっときてないけれど……、そこで大先生がフォロー入れてくれるのが良い。
亀の甲より年の劫。
なんだかんだ言いつつも、みんなのお母さん的な存在。
 
志乃さんと周平さん、変に気を遣わずお互いちゃんと話し合いを持てる点が良いカップルだなと改めて思いました。
志乃さんの台詞がいちいち男前すぎる。
 

あたしね、子供ができてもうれしいだろうけど、周平さんとずっと二人だけでもすごく幸せなの。
どっちでもいいの。

 
形はどうあれ、二人が幸せになるのが一番。
ラストにシロさん&ケンジのまったりした一コマと、住宅街に灯る明かりによって余韻が残る印象的なお話でした。

 
今回の料理はさばの竜田焼、ピーマンとツナのみそいため、キャベツのおひたししょうが風味、トマト納豆、きのこ汁。
とても健康的なメニューだと思いますが、一番驚いたのはトマト納豆。
納豆にトマトって合うんだぁ。
この作品を読んでいると、本当に新たな発見の連続。
 

#107感想

シロさんがお得意様からクレームまがいの指摘を受ける話。
シロさんがキャバクラ接待常連……?
えっ、そりゃねぇわ(即答)。
ゲイである事を差し引いても、基本的に18時終業でスーパー巡り&食事作りしている人にそんな暇あるわけない。
ここで大先生が間髪入れずに否定してくれた事に、シロさん共々感動しました。
しかし、やっぱりお約束のオチが……。
大先生がシロさんを信じた理由、私が思いついたのとほぼ同じだった。
人柄じゃないんだ(笑)。
あの感動を返してください。
そして山田さんのモノローグ。
まあ、こういうすっとぼけ感が、この事務所の良いところ。
 
今回の料理はニラとトマト入りマーボー豆腐、ズッキーニの浅漬け、わかめとタマネギのスープ。
我が家はシロさん&ケンジとは違ってノーマルなマーボーしか作らないから、逆にこういう色々な具が入ったのは新鮮。
トマトのマイルドさ&ニラのパンチが絶妙そう。
ズッキーニもウリ科だから、漬物にしても違和感ないんですね。
 

#108感想

田渕君が9巻#70で別れた彼女とよりを戻す話。
田渕君、何年たってもデリカシーnothingですが、ここぞという時に女の子のツボを押してくるから性質が悪い。
例えるならば、ありきたりだけれど捨て猫拾った不良が超良い人に見えてしまうような……。
彼の場合は嘘がないから余計にね。
 
千波さん、自分の料理の腕の事、ずっと気にしてたんだろうな。
田渕君が良くても(逆に面白がってる)、やはり彼氏には美味しい料理を作ってあげたい。
そこでケンジのアドバイスにより、二人でフィナンシェ作り。
確かに彼女、キッチリしてるから、計量が重要なお菓子作りには向いている。
結果は見事成功。
カップルでお菓子作りというのも楽しそうですね。
 

すげーなホント。
おまえの言う通り、あの材料からこの味が出来るって魔法みたい!
だってこれ、店屋で売ってんのに負けてないよ?
また作って!!

 
う~ん、田渕君がモテる理由を再認識してしまい何となく悔しい(なぜ?)。
なんの衒いもなく、こういう事を素直に言えてしまうところに、女子はキュンキュンしちゃうんだろうね(一応私も女子です)。
 
あと#70で話題になっていた卵白の活用問題が解決したのには驚きました。
よしなが先生、こういうのが本当に上手い。
卵黄・卵白の使い道みたいに、この二人もこれからバランスよくやっていければ良いですね。
 

#109感想

シロさん&ケンジと小日向さん&ジルベールの年末年始の話。
ケンジ、めっちゃはしゃいでいて可愛い。
#99でケンジが発熱して初詣に行けなかったから、念願かなって良かったね……と思ってたら、ケンジの理想とは明後日の方向へ行ってしまった(笑)。
まあ、年取れば、これはしゃーない。
 
時間をあらためて、小日向さん&ジルベール宅で新年会。
……やっぱり老舗料亭の高級おせちだったか。
しかし、ジルベールは悪態吐きつつもシロさんの豚の角煮の方がお気に入りのようですが。
すっごく分かりにくい称賛(?)の言葉だけれど。
シロさんの元カレって、皆こんな感じなんだぁ……(遠い目)。
対してケンジは美味しい美味しいって食べてくれるから、そりゃあ嬉しくもなるわ。
 
今回は小日向さんの実家についても少し明かされましたね。
ケンジ、小日向さん、ジルベールは兄弟がいて良かったねという感じですが……。
 

いんじゃないのお!
過保護な親から超孫の顔期待されちゃって、ゲイバレしてからこじれた一人ッ子だってなんとかこうして生きてるじゃん!!

 
すげーよ、ジルベール、シロさんの何年にも渡る苦悩をワンセンテンスにまとめやがった。
最後は中華おこわで〆。
具だくさんで豪華!
もち米100%だと確かに重いから、もち米:米=1:1は適度な軽さで良いかもしれない。
流れでこのメンバーでの初詣&お正月パーティーが恒例になりそうですが、ケンジの理想が叶う日はおそらくやってこないんだろうなぁ(笑)。
 

#110感想

筧家のお墓事情のお話。
何気に家族間トラブルの素になったりするけれど、筧家は屋内墓を購入済みなようなので一安心。
そうか、お母さんが宗教にハマった時、親族との縁が切れちゃったんですよね……。
久しぶりにお父さんの(くわ)も見られました。
むしろお父さん登場回に、これが見られないと物足りなくなっているのは気のせい?
 
今回はシロさんが両親と夕食なので、ケンジは一人ごはん。
我が家でも出来合いのカツを使ったカツ丼は定番メニュー。
お店で食べるのも美味しいけれど、手軽に食べたい時はこれで十分。
卵二度に分けて入れた方がイイ感じの半熟になるのか。
なるほど、今度試してみようっと。
 
食後、ケンジがまったりしている内にシロさんがお土産の苺と共に帰宅。
ケンジへのお土産としてご両親が持たせてくれたらしい。
決して険悪な仲なわけじゃないから。
ケンジの嬉しそうな表情に和む。
しかし、続くお母さんの提案にぶっ飛びました。
お宅訪問はダメなのに、墓は一緒でOKなの!?
第一巻から登場しているお二人ですが、お父さんの面子といい、やっぱりこの夫婦、よく分からんわぁ……。
 

#111感想

山田さん、物に頻繁にぶつかるけれどやっぱり有能だなと実感する回。
車間距離取れなさそうなので、運転席に座らせたら怖いですが。
シロさんの事務所の面々、皆どこかしらボーっとしてるから、山田さんはもう欠かせないメンバーの一人ですね。
大先生の「あたし、ここのが世界で一番好きな豆大福なんですよ…!!」の表情が凄い。
なにもそんなに鬼気迫る顔しなくても。
なんだかんだ言いつつも、この事務所、みんな仲が良いですね。
主婦(夫)同士でレシピ交換してるし。
志乃さんの「あたし、ずっと筧先生の料理って、おごった材料で作ったすかした意識高い系男の料理だと思ってたんですけど」がヒドイけれど(笑)。
あの超節約主夫の料理談義でなぜそう思ってた!?
 
今回の料理は鱈のバター照り焼き長いもとしめじぞえ、春菊のサラダ、かぶと油揚げの味噌汁。
我が家ではいつも鱈を塩コショウで焼きますが、照り焼きというのも乙ですね。
鱈自体が淡白だから、ガッツリ系のタレでも合うんでしょう。
春菊も匂いが苦手な人もいますが、火を通すと食べやすそうだ。
 

#112感想

ヒロちゃん&玲子さん夫婦にとうとうこの日が来てしまったか……、という話。
冒頭の「店長、息子さん、大学合格おめでとうございまーす!!」に嫌な予感がしない。
P.134の店長と田渕君の対比に、こっちが「わーーーお!」だよ(笑)。
玲子さん、予想以上に根回しが良かった。
しかしヒロちゃん、意外に平気そう?
ベトナムに海外旅行まで行っちゃって……、と思っていたら。
うん、こういうのって後からジワジワ来るよね……。
さすがにあのマイペースなヒロちゃんも落ち込んでしまいましたね。
ケンジも腐れ縁だから心配になる(「ヒロちゃん、浮気…ちょっとくらいじゃないじゃん…」に笑いましたが)。
しかもヒロちゃん、ただでは起きない。
え? え? え!?
巻き込み事故キターーー!!!
勢いでベトナムに美容院開くとか、ホント無駄に行動力あるな、この人。
そんなわけで、ケンジ、まさかの一国一城の主(雇われだけれど)になるお話でもありました。
 
今回の料理はピーマンとじゃこの和風パスタ、アボカドチキンサラダ、チンゲン菜と卵のスープ。
シロさんが紹介していますが、我が家でもししとう&じゃこでよくパスタを作ります。
和風も良いですけど、同じ具でペペロンチーノも美味しい。
パスタはバリエーション無限大だから常備しておくと超便利ですよね。