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『きのう何食べた?(10)』(よしながふみ/講談社モーニングコミックス)感想【ネタバレあり】

きのう何食べた?(10) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(10) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(10) (モーニング KC)

きのう何食べた?(10) (モーニング KC)

 
『きのう何食べた?(10)』の感想です。
連載が長くなり10巻ともなると、シロさん&ケンジだけではなく脇を固めるレギュラー陣も、それぞれ人生の岐路に立たされているのを感じる巻。

 

『きのう何食べた?(10)』(2015年6月23日発売発売)

総評

志乃さん、結婚するんだ~、おめでと~とか、佳代子さんのお孫さん、もうあんなに大きくなったんだ~とか、気分はさながら親戚か近所のオバちゃんな10巻。
時の流れにより変わりゆくものはもちろんあるけれど、本作の変わらない緩さや温かさを、これからも愛でていきたいなと思った次第。
ケンジとシロさんのご両親も、彼らなりの距離感を築いていて、たとえ直接の団欒などはなくとも、これもまた一つの家族の形なのだと感じました。
 
今回最も印象に残ったエピソードは、なんと言っても#78のケンジがイメチェンする話。
前巻のシロさんの老眼鏡といい、時の流れをヒシヒシと感じる。
10巻途中まで黒髪だったのでまだ何となく慣れないけれど、シロさんも良いって褒めてくれたし、いつの間にか馴染んでいくんでしょうね、彼らの生活のように。
 

#73感想

弁護士事務所の事務員・志乃さんのご実家初登場&ご婚約おめでとうございますな話。
志乃さんの実家の洋食屋さん、ずっと気になっていたんですが、タンシチュー、メンチカツ、カニクリームコロッケ、ロールキャベツと、メニューを聞いただけで生唾じゅるり。
そして志乃さん、婚約おめでとうございます!!
お相手は志乃さんの実家に勤めるコックの片岡さん。
ちょっとポッチャリしているけれど、義理堅くて良い人そう。
おまけに、志乃さんが高校生時代に一度告白して振られた相手なんだ、へ~。
確かに28歳と16歳のカップルは、色々と世間が取りざたしそうだ。
10年前の片岡さん、シュッとしたイケメンでモテそうだし、時を経て、相応のタイミングで収まるべきところに収まった感じ。
 
それはそうと、髪の毛を下した志乃さん、意外と年相応なんですね。
若い頃は大人っぽく見えて、後から年齢が追い付いてくるタイプなんじゃないですか?
それに、やはりあのマダム巻きが仇になっているかも……。
片岡さんは店の跡継ぎの事も考えて、志乃さんが無理してるんじゃと勘ぐっていますが、ハッキリ言って取り越し苦労でしょう。
彼と一緒にいる時の志乃さんは、すごくイイ表情をしている。
他の人には見せないであろう、とても可愛い笑顔。
また志乃さんは弁護士事務所での仕事も当分続けるようで、シロさん達的にも良かった良かった。
 
今回のメイン料理はコロッケパン。
我が家でもコロッケを揚げた日の翌日などにやりますが、揚げたてというのはかなり贅沢。
翌日以降でもトースターで温めるとカリっとなるので、十分美味しいですが。
千切りキャベツがたっぷりなのも嬉しい。
ブルドックの中濃ソースはマスト・アイテム。
 

#74感想

素麺のおすそ分け片手に、シロさんが富永家を訪問する話。
子供って、なんでこんなに成長するのが早いんだろう?
シロさんも滅茶苦茶ショックを受けてる。
佳代子さんの孫の悟朗君も、もう1歳8か月。
 

す、すごいですね。息子さん、ちょっと見ない間になんか人間になってますよ!?

 
シロさん、何気に富永家のデリカシーの無さが伝染してません?(気心が知れてきたとも言う)
まあ、肝心の母親は息子を虫扱いなので問題なし(?)ですが。
そして、やはり子育てはザッパーなんだ……、うん、知ってた。
 
佳代子さんは頻繁に登場しているイメージだけれど、シロさんと会うの久しぶりなんですね。
そう言えば、佳代子さん、以前よりも何となくふくよかになった。
お孫さんの世話もあるので忙しいのは仕方がありませんが、佳代子さんとの交流機会が減ってしまい一抹の寂しさを覚えるシロさん。
スイカを見ると、佳代子さんと出会った時を思い出す。
振り返れば、シロさんと富永家も不思議な縁で結ばれている。
佳代子さん達が変に気を使わないからこそ、関係が継続できたのかも……。
そこへ瞬時に無神経な言葉が飛んでくるのが富永家のお約束ですけどね。
しかし、ミチルちゃん、おじいちゃんは勘弁したって(笑)。
せめて親戚のおじさんぐらいにしておいて。
 
今回の献立はタイカレー、牛肉とズッキーニの炒めもの、エビと春雨のサラダとエスニック風。
佳代子さんのレパートリーの幅広さに改めて驚きます。
ただ佳代子さんも言っている通り、KALDIなど輸入食材を扱う店などもかなり増えて、敷居は大分下がってきましたね。
あとシロさんのズッキーニの購入目安が100円な事に、ちょっとした親近感を覚えました。
 

#75感想

シロさんのお母さんがガンの手術を受けるお話。
お母さん、髪切ったんですね。
自分自身や家族の病気は感傷的になっている暇もなく、事務的に処理しなくてはならない事柄が多い。
それに以前新興宗教にハマった時に、他の親戚とは縁が切れてしまったんですね。
そうなると、一人息子であるシロさんが、いずれはすべて自分で判断して捌かなければならない。
彼が世のシステムに精通した弁護士さんで良かったと思いますよ。
少子高齢化が進んだ現代では全く他人事とは思えないから。
 
ただ今回の筧家の場合は、お父さんもお母さんも自分ができる範囲で色々とこなしてくれているから助かる。
いつも穏やかなお父さんが、突如(カッ)っとなるのは正直怖いですが(笑)、揚げ物が食べたい、ATMに行ってくれぐらいは可愛いもの。
何より、シロさんの隣にはケンジがいてくれるしね。
シロさんの両親とケンジの距離感はまだまだ測りがたいけれど、「お母さんに優しくしてあげてね、シロさん~~~」と応援してくれるだけで嬉しい。
 
今回の料理はおうち焼肉 in 筧家。
外で食べる焼肉も良いですが、おうちも良いですね。
多少高い肉を買っても経済的である事に変わりはないし。
私も蒸し焼きにしてクタ~ッとなった、タレ染み染みの野菜、大好きです。
そして、シロさんの中でムクムクとホットプレート欲しい熱が湧く。
お母さんの言うとおり、ガスが使えない時に便利だし、紹介されている料理の他にも色々汎用性が高い。
買っちゃえ買っちゃえ。
 

#76感想

そんな訳で、シロさんがホットプレートを買ってしまった話。
早速、乙女志向のケンジはパンケーキをご所望。
そして、ついにベーキングパウダーに手を出すシロさん。
シロさんの気持ちわかります。
あの量は普段からパンやケーキ作りをしていないと、なかなか消費しきれないから。
しかしケンジのパンケーキへの執着も凄まじい。
かつてシロさんに対して、こんなに押しの強いケンジが存在しただろうか?(シロさん、珍しく怖がってるし)
 
翌日、小日向さん&ジルベールを呼んでパンケーキ・パーティー。
小日向さん、ジルベールばかりではなく、シロさん&ケンジのための高級食材庫みたいになってるけれど、それで良いんでしょうか?(笑)
さらに何の前触れもなく明かされる小日向さんとジルベールの馴れ初め。
スミマセン、私もまず脳裏を過ったのは「犯 罪 者 !?」でした。
事情聴取によると、ギリギリセーフ寄りのアウトというか……、まあ、ジルベールがジルベールである理由(?)は納得。
どちらかというと、シロさん=冴羽獠の方が、特殊フィルターかかっているような気がしてきました。
 
今回のメニューはもちろんパンケーキ。
ホットプレートでこれだけフワフワのが作れるとは知りませんでした。
多少手間がかかっても、これならお釣りがくるくらい満足感が得られそう。
 

#77感想

美容室の店長・ヒロちゃんと家族の話。
確かにいますね、寛大なようで実情が見えていない人。
ヒロちゃん、愛嬌があるというか憎めないんですが、それがさらに性質が悪いというか……。
奥さんの機嫌が良くないって……、まずその浮気グセを直せばいいんじゃないかな?(奥さんが気づいているかどうか明示されてませんが)
 
シロさんとケンジが長年波風立てず上手くいっている理由のひとつは、家事分担をはじめ、お互いが納得して日常生活を送っているからなんですよね。
本人達の努力の賜物であると同時に、元々波長が合っている部分もあるだろうし……、これが簡単なようで一番難しい。
シロさんとケンジは、互いに出会えて本当にラッキーだったと思います。
 
今回はシロさんが出張で忙しかったので、ケンジが夕食作り。
メールのやり取りにほっこり。
ケンジがキッチンに立っていると何となくヒヤヒヤするんですが、#27でシロさんの看病をして以降、料理の腕も大分上がりましたね。
かれいの甘酢あんかけ、チンゲン菜のおひたし、しらすおろし、かぼちゃとベーコンの煮物とバランスも良い。
ケンジの料理を食するシロさんの表情が終始和やかで、こちらも幸せな気分になりました。
 

#78感想

ケンジがイメチェンする話。
 

うわ~~~、矢吹さん、いちだんとうすくなったっすね~~~!!

 
田渕君、それ、凄くセンシティブな話題だから!!
なんで、シロさんとケンジの周囲には、こういうデリカシーnothingな人々ばかりなのか?
相方のシロさんが意識高い系で若さをキープしているので殺意すら湧くケンジ(笑)。
ついに金髪&短髪でさっぱり。
変にドラマティックにしていないのが、この作品らしい。
シロさんにも好評なようで良かった。
 

イヤー、だってお前の頭頂部、だいぶきてたもんな!完全にいっちゃう前に、短くした方が絶対見苦しくないって!

 
シロさんが一番デリカシーなかった~~~!!!
やめて、ケンジのHPはもう0よ!
そうですよね、シロさん、自分では割とグルグル悩むくせに、他者に対してはこういう人だった。
ハッキリ言って、富永一家は類友です。
 
今回のメイン料理は豚肉のみそ焼き。
肉たたきがなくても、包丁の背で代用できるんだ~。
キッチン用品は種類も豊富で、いちいち買っていてもキリがないので、如何に他の物で代用するかがミソ(みそ焼きだからってシャレじゃないですよ)。
 

#79感想

シロさんが年末に実家で大掃除をする話。
ご年配の方は、電灯のカサの掃除ひとつとっても大変ですし。
29日は実家へ帰り、30日から年始にかけてはケンジとゆっくりしようと計画していたシロさんでしたが……。
お父さん&お母さんの(くわっ)キターーー!!!
この二人も何気に似たもの夫婦ですね。
そして、掃除を一度やり始めると収拾つかなくなるのもお約束。
スケジュールの狂ったシロさんは、自分のところの正月の準備もあって大わらわ。
シロさんとラブラブな忘年会をしようとルンルンしていたケンジはご機嫌斜めですが……。
シロさんの赤ちゃん時代の写真を与えたら速攻立ち直りました(ちょろすぎる)。
 
今回の料理は、豚バラ・キャベツ・にら・春雨のモツ鍋風。
所要時間20分ってお手軽すぎ。
しかもあっさりかと思ったら、意外とパンチのある味なんですね。
確かにビールに合いそう。
 

#80感想

シロさんが勤める弁護士事務所の先行きの話。
若先生が理想に燃えるのは良いけれど、大先生の不安も分かる。
刑事事件の弁護はお金にならないというし、冤罪防止のためとはいえ、何のためらいもなく50万円の身銭を切ってしまうのもなぁ。
シロさんはシロさんで、ゲイである事をカミングアウトしていないので、あのように答えざるを得ないし。
大先生にはもう少し頑張ってもらうしかない。
 

ケンジよ、俺、実を言うと、お前より俺の方が将来の事について、ちゃんと考えてると思ってたんだよ、今までは。けど全然、そんな事なかったって事が今日分かったんだよ。すまんケンジ…

 
ここで素直に謝れてしまうのがシロさんの凄さですが(性格と育ちが良いんだなと)。
今後、シロさんが職場でどのようなスタンスを取っていくのか非常に気になります。
 
今回の料理は、まぐろの山かけ、かぶの肉みそいため煮、もやしだけのナムル、のりの吸い物。
我が家でも、とろろ+まぐろは良くやります。
普通の刺身とは一味違った美味しさ。