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『きのう何食べた?(13)』(よしながふみ/講談社モーニングコミックス)感想【ネタバレあり】

きのう何食べた?(13) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(13) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(13) (モーニング KC)

きのう何食べた?(13) (モーニング KC)

 
『きのう何食べた?(13)』の感想です。
この巻で記念すべき100話目を迎えていますがまったりムードは変わらず。
これからもそれを貫いてほしい。
しかし、#103を読んでいると、とうとうシロさんも孫がいてもおかしくない年に突入してしまったんだなと思うと感慨深い。
 

『きのう何食べた?(13)』(2017年9月22日発売)

総評

100話到達おめでとうございます。
ですが区切りの100話も特に大きな事件は起きず、小日向さん&ジルベールと暢気にお鍋しているいつも通りのシロさん&ケンジ。
それでこそ『きのう何食べた?』。
今後ともこのテンションでお願いします。
これからも変わらず、二人で支え合いながら、ほのぼのとした食事風景を読者に見せて欲しい。
 
しかし、シロさん&ケンジの付き合いも、これで13年目(1巻って本当に付き合い立てだったんだなぁ)。
つい最近まで親の介護問題などにワタワタしていたのに、今はそれが自分自身にスライドしてきている。
まだ冗談事で済んでいるけれど、互いの介護なんて話題も出てきている。
時が経つのって本当に早いですね。
この作品は変に何かを押しつけず、けれども読者に人生の節目や心に忘れずに留めておかなければならない事をそれとなく意識させてくれるのが本当に上手い。
 

#97感想

シロさんが当番弁護士をする話。
一度は切り抜けたのに、後からジワジワくるアンラッキー感がシロさんらしい。
使い走りをしたり、お門違いの八つ当たりされたりと、弁護士さんという職業も大変ですね。
人というのは、隣の芝生は青く見えて、自分以外の人間は皆恵まれていると思ってしまいがち。
しかしパッと見幸せで、何でも欲しいものを手にしてそうでも、心に葛藤を抱えている人は多い。
それを肝に銘じておかなくてはいけないなと。
(ちなみに友達も少ないよ…)には、クスリと笑ってしまいましたが。
まあ、シロさんの場合は、嫁と子はいないものの同性年下の恋人と幸せに暮らしているんですけれど。
 
今回の料理は坦々うどん、そしてとうふのなめこあんかけ。
坦々うどん、干した小エビ(お好み焼きなどに入れる安価ので良い)などを使えば、自宅で作っても味に奥行きが出るんですね。
どうしてもインスタントに頼ってしまいがちですが、うどんだけではなく普通に中華麺でやっても美味しそう。
とうふのなめこあんかけも手軽。
水溶き片栗粉を入れなくても、なめこのぬめりがそのまま餡になるのに感心してしまいました。
 

#98感想

佳代子さんの家でお昼をご馳走になる話。
旦那さんのデリカシーのなさが炸裂。
今回いつも以上に畳みかけてきましたね。
ミチルちゃんがいないだけ多少マシになるかと思ったら、全然そんな事なかった(笑)。
これをフォローする佳代子さんも大変。
だがそんな佳代子さんの居たたまれなさを後目に、旦那さん、愛され体質というか、今までもこんな感じで世間の荒波を渡ってきたんだろうなぁ。
オチもヒドイ。
他人のHPゴリゴリ削ってくるわ。
美味しい昼食が食べられたから、とりあえずプラマイ0?
 
今回の料理は春巻き、ゆで卵とベーコン入りポテトサラダ、小松菜の中華スープ。
餃子よりも多少手間がかかりますが、これはこれでビールに絶対合う。
春雨が旨味を吸ってくれて美味しそう。
小松菜のスープも手間いらず。
春雨が完全食だから、あっさり目のスープと相性が良い。
 

#99感想

今年もやって来た二人の年末の話。
ジルベールに元日の初詣に誘われましたが、ジルベール、シロさん&ケンジの事大好きですよね、すでに腐れ縁というか……(からかい甲斐があるから?)。
シロさんとケンジの友達付き合いの差は……、この二人、確かに育った環境が違うから。
今現在、うまくいってるんだからオール・オーケー。
色々理由をつけて出渋るシロさんですが、ケンジは一歩も引かず。
パンケーキもそうでしたが、ケンジのやる気スイッチって結構謎。
 
ところが二週間後の大晦日。
ケンジが発熱してしまう。
そう言えば、4巻の#27では、ケンジがシロさんを看病していましたね。
あの時はケンジが家事に慣れていなかったので心配でしたが、今回はなんだか安心して見ていられる。
看病レシピは大根と落とし卵のみそ雑炊、ブロッコリーのかにかまあん。
味噌味の雑炊って食べた事ありませんが、卵と合わせるとマイルドに。
また味噌は発酵食品なので、腸内環境を良くして代謝をアップさせる効果もありますね。
風邪にも良さそう。
食後にはさつまいものとりんごのレモン煮まで付いてくる。
至れり尽くせり。
 

シロさんがこんなに優しくしてくれるなら、俺、もう初詣なんて行けなくてもいいや~~~

 
ケンジが幸せそうでなによりですが、シロさんも(ついつい勢いで)来年の初詣の約束をしてくれたのでした。
シロさん、なんだかんだ言ってケンジに甘くてほっこり。
 

#100感想

シロさん&ケンジ宅で小日向さん&ジルベールと一緒に鍋パーティーの話。
小日向さんの小洒落た鍋に飽きたので、ジルベールはシロさんのふっつーの鍋が食べたいとの事。
小日向さんちの鍋は一体どんなのなのさと思ったら……。
 

鴨ロースとクレソンの鍋とか、蛤と菜の花の小鍋仕立てとか、鱧と湯葉のしゃぶしゃぶとか…

 
は!?
すみません、それ、私基準だと「どこにでもある普通の鍋」じゃないです……。
おまけに一品料理で、ルッコラの生ハム巻きや焼きなすのウニのせが出てくる……ってスゴイ家庭。
小日向さん、強面ではあるけれど、確かに育ちは良だそうだとは予想していましたが、ここまでとは……。
一方、ジルベールは、父親がたたき上げの成金実業家なので、子供の頃は意外と普通のお惣菜で育ったらしい。
 
今回のメイン料理はバージョンアップ鶏の水炊き。
大吟醸酒も添えて(モデルであろうお酒をネットで見つけましたがかなりイイお値段でした。さすが小日向さん)。
鍋を食べてるケンジとジルベールの、まるで忘我の境地のような表情に爆笑。
特にジルベールは小日向さんの料理がいつもシャレオツだから、家庭料理に飢えてるんでしょうね(実家とも没交渉っぽいし)。
シロさん、人柄もあるだろうと思うけれど、オカンメニューに目をつけられたような気がしないでもない(やたらとシロさん&ケンジに集まりたがるし)。
〆は定番の雑炊で。
「しみじみおいしーーい…(ハート)」って分かる。
鶏や野菜などから良い出汁が出てるんだろうなぁ……(よだれ)。
デザートは、これも小日向さんのお土産、超甘いステキみかん。
 
そう言えば、12巻の#94で微妙な空気になったシロさんと小日向さんですが、特に何事もなく丸く収まりました。
 

#101感想

シロさんとケンジのお誕生日祝いを一遍にする話。
ケンジ、17歳教ならぬ49歳教に入信していたか(笑)。
まあ、ここは素直に認めてもいいんじゃないかな?(超他人事)
というか、シロさんの口八丁スゲーーーッ。
シロさんの弁護士としての真価を始めて(?)見たような気がしました。
 
今回の料理は江戸前風ばらちらし、とり天とアボガドの天ぷら、菜の花のごまからしあえ、はまぐりのお吸い物。
お誕生会の定番・ちらし寿司と鶏の揚げ物に、大人らしいアレンジが加えられていますね。
彩りも鮮やかだし、菜の花にはまぐりのお吸い物と季節感もバッチリだし。
お祝い事に相応しいメニュー。
私もアボガド好きなので、アボガドの天ぷらに興味津々。
 
しかし、ケンジ、これからは年齢じゃなく付き合った年数をお祝いしようって往生際悪っ!
 

#102感想

最近ではすっかり恒例になりつつある、美容室・フォームを舞台にしたホラー話。
離婚へのカウントダウンはさらに進んでいますね。
ヒロちゃんが相変わらず鈍すぎというのもありますが、玲子さんも相当巧妙に準備してそう。
他の従業員の気苦労も絶えない。
田渕君、薔薇散らすほど楽しそうな顔止めぇや!!(ハッ、前回のメニューがばらちらしだったのは偶然?(意味違うけど))
ヒロちゃんも「店内恋愛だめ」ってどの口が言う!?
ホントそういうとこだよ……。
 
とりあえず、ケンジはシロさんの料理を食べて癒されてください。
今回の料理はシンガポールチキンライス、チンゲン菜のエスニック炒め、コンソメ野菜のかきたまスープ。
東南アジアの屋台のメニューっぽい。
炒めものにナンプラー使うのも一つの手ですね。
普通の炒めものとは一風変わった味になるし、ナンプラーって一度買うとどうしても持て余してしまう。
 

#103感想

シロさんの大学の同級生が病気で亡くなった話。
シロさんもいよいよそういう年齢に差し掛かってきたんですね。
金森さんに関しては、これはこれで悲しい事だけれど、子供も独立し、孫の顔も見られて、事前に心の準備ができたのは家族にとっても良かったと思います。
 

さーーーて、いて良かったと思う孫も、残して心残りの妻子もいないけれど、俺は俺のために俺を大事にするぞ!

 
シロさんが納得しているのなら、それもまた一つの人生。
自分とケンジとご両親を大事に生きていってほしい。
私自身の人生にも思いを馳せつつ、ラストのすっかりケンジを介護をするつもりのシロさんに笑ってしまいましたが。
 
今回のメイン料理は鰺の煮つけ。
個人的には、鰺は干物やお刺身で食すのがほとんど。
本書の幕間でも書かれていますが、煮魚ってどうしても白身魚のイメージ。
下処理が若干面倒そうだけれど、ぜひ挑戦してみたいと思います。
 

#104感想

シロさんの勤める弁護士事務所の日常話。
大先生がにこやかだけれど着々と外堀埋めているのが怖い(笑)。
今回は前巻で初登場したニューカマー・山田さんについて、色々分かってきました。
仕事はできるけれど、やっぱりこの人もプライベートではザッパーだったか。
対して旦那さん(なぜかいつも顔が出てこない)、細やかな方ですね。

「でも人の作ってくれた料理に食べるだけの俺が、文句つけるのはいけないと思って黙った」

 
料理を作ってくれる人に感謝できる好人物ですが、この台詞、奥さんとしては複雑だっただろうなぁ。
まあ、家事も適材適所で、山田さんと旦那さん両者が納得できる形を作っていければ良いんじゃないかな?
山田さんも旦那さんのおかげで、野菜の美味しさに気づけた事だし。
 
今回の料理はゆで豚・ゆでオクラ(ピリ辛ねぎゴマたれで)、かぼちゃとなすの煮物、卵とトマトとうふの中華スープ。
ゆで豚・ゆでオクラは棒棒鶏の豚ヴァージョンぽい。
中華スープと相性良さそう。