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『きのう何食べた?(12)』(よしながふみ/講談社モーニングコミックス)感想【ネタバレあり】

きのう何食べた?(12) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(12) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(12) (モーニング KC)

きのう何食べた?(12) (モーニング KC)

 
『きのう何食べた?(12)』の感想です。
今回もまったりしつつも、新メンバーの加入など、さらに世界観の広がりが感じられました。
ジルベールの家出の回には少しドキッとしましたけれどね。
こういうのがあるから、よしなが作品は油断できない。
 

『きのう何食べた?(12)』(2016年10月21日発売)

総評

もう、まず表紙からして爆笑しました。
これ、前巻の#87で恵比寿のレストランに食事に行った時のファッションですよね。
カラーだと予想以上にヤバすぎた。
シロさんの佇まいも相まって、料理マンガに見えません(いつも表紙に入っているお料理名もないし)。
あれ、これ、任侠作品でしたっけ?
 
そんな感じで初っ端からインパクトの強い12巻ですが、一番印象に残ったのはジルベールが家出した話。
ジルベールの実家も気になりますが、シロさんと小日向さんの醸す微妙な空気にもソワソワしてしまいました。
いえ、この二人の間に間違いが起こるわけないのは分かってるですけれど(10年前だったら断言できませんが)。
たとえ年齢を経ても、ときめくぐらいイイじゃないか!!(本気になったらマズいけどね)
 
あと今回から次巻の予告が入るようになったんですね。
料理名とビジュアルは明かされませんが、シロさん&ケンジが食べているカットだけでも美味しそう。
これは新手の焦らしプレイでしょうか?
 

#89感想

11巻の#88で伏線が張られていた筧家の家族旅行の最中、ケンジも実家へ里帰りする話。
ケンジ、女系家族父親不在の末っ子長男なので、お姉さん達には可愛がられただろうなぁ。
一家団欒ですき焼き、良いですね(牛肉はもちろん、豚肉でやっても美味しい)。
甘じょっぱいタレ最強。
翌日、シロさんも無事帰宅して、実家から持ち帰った材料で再びすき焼き。
我が家でも一度作ると具をつぎ足しては、二、三日かけて食べるから無問題。
ちなみにうちでは、最後にいよいよ少なくなってきたら、熱々のご飯にかけてすき焼き丼にします。
ネギ及び野菜の硬さに関して、私は普通に食べる時はシロさん達と同じくシャキシャキ派ですが、すき焼き丼の時はクタクタに染みているのが好き。
 
シロさんの旅行のお土産話も面白い。
ま~た変な宗教にハマったんじゃと思って、シロさんと同じくヒヤヒヤしましたよ(笑)。
体操ぐらいなら平和なもんです。
しかし、宗教ハマってた時ってP.18の2コマ目のテンションだったんですかね(目血走って畳みかけてくる)。
シロさん、これからもご両親の事、ちゃんと見張っててあげて下さいね(以前も書きましたが、オレオレ詐欺とかに引っかかりそう)。
 

#90感想

ここ数か月間、シロさんを悩ませていたベーキングパウダー問題がいよいよ決着(平和)。
大先生からお歳暮のりんごの残りも大量に配給され、シロさんが頼りにしたのは佳代子さん。
 

佳代子さ~~~ん!!

 
ドラえもんに泣きつくのび太とダブって見えるのは気のせい?(笑)
そこはベテラン主婦・佳代子さん、チャチャっと解決策を編み出してくれました。
小日向さんも巻き込んでマフィン作り。
確かにお菓子作りって意外と体力使うから、力のある男の人がやった方が効率の良い場面も。
「切るようにさっくり混ぜる」じゃなく「大きく混ぜて生地を押さえるんだ」、へ~、へ~、へ~。
お菓子なので材料はキッチリ計る必要があるだろうけれど、基本的には混ぜ合わせるだけ、仕込みは15分ほどでできてしまうというのは手軽で良いですね。
 
調理器具を洗っている間の雑談。
確かに佳代子さんの旦那さん、社交的かつ多趣味ですね。
シロさんもそのおかげで小日向さん&ジルベールと出会えたわけだし(旦那さんのフレンドリーだけどデリカシーのない思い付きの結果ですが)。
対して、年齢を重ねても趣味ひとつない自分に危惧を覚えるシロさん。
でもシロさん、趣味はなくとも料理上手いし、ジムに通ってるぐらい自意識高いから大丈夫じゃないですか?
一番拙いのは、趣味も身の回りの事も何もしない、無い無い尽くしの燃え尽きた状態。
なによりパートナーのケンジも無趣味だし。
 

「それでいいんだよな!?」
「えー、いいんじゃなーい!?」

 
それでいいんです(この作品は大体それで解決)。
 

#91感想

シロさんの勤める弁護事務所で新しい事務員を雇う話。
志乃さんは申し訳なさそうだけれど、こればかりは天の配剤。
むしろ早めに手を打っておいた方が吉。
やはり志乃さん、気遣いのできる女性だなと。
 
そんなわけでやって来た新人事務員さん。
パッと見しっかりしてそうですが、雲行きが怪しい。
致命的ではないものの、失敗を繰り返してしまう。
志乃さんも後輩は初めてなので間合いがつかめず。
いつもの卒のなさが仇になってしまいましたね。
結果はあらら……。
個人的には外山さん、ちょっとガッツが足りないんじゃないかなっと……、まあ、波長が合わなかったんだなと割り切るしかない。
 
今回の片岡家の食卓は、いかなっとうアボガド丼、ブロッコリーのコチュジャンあえ、レタスのみそ汁。
志乃さん、落ち込んでしまい手抜き料理だとおっしゃいますが、私だったらインスタント食品まっしぐらですよ。
幕間でも述べられている通り、丼はいかでなくとも、魚介類なら比較的なんでも合いそう。
コチュジャンあえもお酒に合いそうだ(飲まなきゃやってられない時もある)。
なにより、愚痴を聞いてくれる相方がいてくれるのが嬉しい。
 
こうして、元のしっかり者に戻った志乃さんですが、この事務所、志乃さんがいてくれないとマジでヤバくないですか!?(男性陣はもっとしっかりしましょう)
 

#92感想

美容師としてのケンジの現状の話。
あくまで私事ですが、冒頭のおばあちゃんのエピソードが、私の亡くなった祖母とそっくりでしんみりとしてしまいました(祖母も亡くなる少し前にヘアスタイルを整えてもらっていた)。
女性に限らず、少しでも奇麗な姿で逝けるというのは、とても幸せな事なのではないでしょうか?
だから、ケンジは本当に良い仕事をしたなと思います。
ケンジも訪問カットに関して、かなり積極的に取り組もうと考えているようですね。
店長夫婦の仲も微妙だし……、ヒロちゃん、確かに玲子さんと別れたら廃人化しそう。
とりあえず、今日のところはシロさんの髪をカットしてあげて……、シロさん、相変わらず何気に鈍感ですが。
ケンジのモノローグが珍しく雄々しくて笑う。
しかし、結構真面目な話をしていたはずなのに、最後はバーコード頭の成り立ちで〆って、本当にこの二人らしい(笑)。
 
今回のメイン料理は鶏肉とかぶの塩炒め。
3巻#22のアレンジなんですね。
シンプルな味付けなので、比較的どんな材料でも合いそう。
ひじきの煮物のポテンシャルの高さもスゴイけど、シロさんの熱い語り口も負けず劣らず(ケンジですら引いてるし)。
シロさん、料理は趣味ではないと言っていますが、十分料理マニアの素質はあると思います。
 

#93感想

冒頭からすごいインパクト(爆笑)。
田渕君の恋愛スタンスが分かる話。
いや、まあ、そりゃあ振られるわな……。
正直ではあるけれど、これはこれで厄介な田渕力。
でも本人、自分を曲げたくないなら、それはそれで仕方がないかなと。
変に思い詰めていないし、後悔もなさそうだし。
 

やっぱ年上だな!
そーか!!
いっそバツイチどーすかね!?
金に困ってなくて、子供はもう独立しちゃってるシングルマザーとか!!

 
よし、とりあえず、玲子さんに彼を近づけるのはやめようか(遠い目)。
すごくドロドロしそうで、ケンジの毛根にも良くないから。
 
今回はシロさんが不在なので、ケンジと田渕君でガッツリ系の男子ごはん。
シラスとキャベツのめんたいこレモンパスタと、なすと豚肉の柳川風。
あるもの入れちゃえーという感じですが美味しそう。
パスタはシラスと明太子だと若干しょっぱそうなイメージですが、キャベツとレモンで良いバランスになるんでしょうね。
 

#94感想

ジルベールが家出して、小日向さんと彼の相談にのっていたシロさんが……な雰囲気になる話。
家出している理由が、……うん、相変わらずだなと思うんですが。
今回は小日向さんもなんだか雰囲気が違う。
1か月も家出してれば、それは心配ですよね。
色々と浮気の前科もあるようだし。
それにジルベールの父親、かなりやり手の実業家のようですが、この実家もなかなかややこしそうな気がする。
 

「ただ正直、僕、ワタル君と付き合う事に少し疲れてしまったかもしれませんね」
「えっ?」
「筧さんのおっしゃる通り、僕があんまりワタル君ひとすじなのが良くないんでしょうか…」
「えっ?」

 
読者がぇえええぇえぇ~~~~~ですよ!!!!
この作品で昼ドラ展開ダメ絶対(なぜ片言)。
小日向さん、実はシロさんの好みどストライクだったから、昔だったらヤバかったですね。
まあ、妄想でときめくぐらいなら罪はないけれど。
もしバレたら、ケンジもジルベールも凄まじそうだからさ(遠い目)。
「10年前なら分かんなかったなー」と浸っているぐらいが花だし、今現在が幸せな証拠。
 
ちなみに平常心に努めて作った料理が、サバの塩焼き、かぼちゃと鶏肉の煮物、コールスロー、オクラとみょうがのみそ汁。
いつもどおりが一番。
ちなみにジルベールも近所で発見されてめでたしめでたし。
 

#95感想

ケンジとシロさんのお盆休み一日目の話。
そう言えば、3巻の#24もそんなエピソードだった。
ちなみにあの時のメニューは、クレープでブランチ。
今回はオムレツにソーセージの付け合わせなど、平日よりも少し豪華なメニュー。
そんなまったりした空気の中、ケンジが七夕祭りへ行こうとシロさんをデートに誘いますが、なぜかスーパーで買い出しになったよ。
おまけに大掃除開始。
確かに冬よりもそれ以外の季節にカーテンや網戸など洗った方が楽ちんですが、朝の優雅な特別感はどこに行った?
最終的にケンジの願いは聞き届けられましたが、七夕様のおかげでしょうか?(私は出不精なのでシロさんの気持ちがよく分かる)
 
今回のメニューは、豚肉入りトマたまいため、枝豆、きゅうりのピリ辛漬け、にらのみそ汁。
夏にぴったりのスタミナメニューだと思います。
あと枝豆+ビールは大正義。
 

#96感想

弁護士事務所にまた新人さんが入ってくる話。
大先生、551の豚まん、本当に好きですね。
しかし、エビで鯛を釣られたというか、豚まんで面倒事を押しつけられた感があるけれど。
そしてやって来た新人・山田瑞希さん(36歳主婦)。
ちょっと(?)ドジっ子ですが、元秘書でお母さん業もしているだけに色々ツボも心得てる。
童顔で愛嬌あるけれど、浮ついたところがない。
イイじゃん!!
予想外の拾い物でしたね。
 

(あ、それと職場の先生の一人が、たぶんゲイみたいです)

 
早速バレて~ら……。
これは瑞希さんが鋭いのか、それとも他の面々が鈍すぎるのか微妙ですが……、フェミニンな雰囲気の中にもツワモノ感があって侮れない。
 
今回はさつまいもごはんが美味しそうでした。
栗ごはんも良いですが、シロさんも言うとおり、手軽に秋の味覚を楽しめるのが嬉しいですね。