ボーイズラブのすゝめ

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『きのう何食べた?(5)』(よしながふみ/講談社モーニングコミックス)感想【ネタバレあり】

きのう何食べた?(5) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(5) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

 
『きのう何食べた?(5)』の感想です。
今回の出色は小日向さん&ジルベールのカップル。
彼らの生活をスピンオフで見てみたいくらい濃い&興味深い。
馴れ初めなども気になります。
 

『きのう何食べた?(5)』(2011年9月23日発売)

総評

5巻はケンジの割と重たい家庭事情がついに明かされたり、二人でお揃いのペアリングを買ったりと、二人にとっては大事件が発生。
しかし、特に深刻になる事もなく、いつものふんわりムードは変わらずでした。

安定のシロさん&ケンジ。
あと、前述しましたが、小日向さん&ジルベールがとにかく面白過ぎました。
割れ鍋に綴じ蓋?
小日向さんはジルベール大好きなのが伝わってきますが、ジルベールの方は一筋縄ではいかない性格なので、今後の展開が楽しみです。
 

#33感想

いきなりシロさんと佳代子さんがキャベツの千切りに勤しんでいて「何事!?」と思わせる冒頭。
まあ、このシリーズの事だから大掛かりな事件というわけではないんですが。
……でも、キャベツ2個でも200円、3個で200円はちょっとした事件かもしれない(ニュータカラヤ、大雑把過ぎでは?)。
二家庭でキャベツ3個はなかなか消費しきれないというわけで、二人はコール・スローを大量に製作中。
コール・スロー、派手さはないけれど、付け合わせにするのに便利ですよね。
 
そこへ、佳代子さんの旦那さんが、テニス仲間を大量に引き連れてご帰宅。
何の前触れもなく……、うわっ、これ、一番嫌なパターン。
そしてちょっとゴツめの小日向さんとシロさんを引き合わせる。
 

ゲイ同士、仲良く友達になれるかなって思って!

 
……(遠い目)。
そうなると、ヘテロ同士も人類皆兄弟という感じで、仲良く友達になれる論理に……。
いつもの如く、善意しかないんだけれど、微妙にズレてるなぁ。
 
そんな小日向さんはジルベール by 『風と木の詩』(竹宮惠子)に似た恋人がいるそうで、彼との悲しい物語を聞かせてくれました。
……って、単なるノロケかい!?
ジルベールのツンぷりとひらひらパジャマ(イメージ映像)、シロさんの「楽しいプレイ」発言に笑った。
小日向さんとジルベールの力関係がとにかく面白すぎる。
小日向さん、あなた、もっと怒っていいのよ!?
 

#34感想

ケンジの実家について明かされるお話。
父親はほとんど家に寄り付かず、帰ってくるのは金をむしり取りにくる時だけ(しかもDV付き)。
今は生活保護を受けていますって、えっ、かなりヘビーなんですが、なんでこんなにのほほんとしてるんですか、このご家族!?
生まれつきなのか、家庭環境がそうさせたのか分かりませんが、皆さん、大らかというか、達観しているというか、血の繋がりをヒシヒシと感じます。
そうなるまでには、色々と葛藤もあったんだろうけれど。
何気に、学生時代のケンジの丸坊主姿に一番ビックリしました。
ケンジの話を聞き流すシロさんも図太いというか……、シロさんも弁護士として様々な人生模様を見てきているから。
シロさんが変に深刻にならずに、これぐらいのスタンスでいてくれた方が、ケンジとしても居心地が良いのかもしれない。
 
今回のメイン料理はアジのたたき。
私も魚の三枚おろしは得意ではありません。
馴染みのお魚屋さんに行くと、大体お店の方に頼んでしまう。
 

#35感想

シロさん御用達のスーパー・ニュータカラヤに勤めるレジ担当のオバさんと、シロさんとの間に芽生えたおかしな絆(?)の話。
「ミョーに美人だし、性格悪いし、ありゃ絶対職場でも嫌わているに違いないね!」って、オバさんの方でもシロさんに対して同じようなこと思ってそう(笑)。
いわゆる同族嫌悪?
 
毎日のように同じ店に通っていると、特に会話は交わさないけれど、お店の人との間に阿吽の呼吸、もしくは独特のリズムのようなものが生まれるのはあるあるですね。
あと「この人なら期待を裏切らぬ仕事をしてくれるだろう」といった信頼感。
顔を覚えてもらって、ちょっとした気遣いをしてもらえるのも何気に嬉しい。
オバさん、かなりできる女だ。
シロさんを掌で転がしている。
これもまた、コミュニケーションのひとつの形。
 

#36感想

シロさんが小日向さん&ジルベールとレストランでお食事する話。
もう、ヒゲのジルベールに全部持ってかれました(爆笑)。
分かってました、ジルベールが紅顔の美少年じゃないって……。
一見人懐っこそうなルックスで、あの傍若無人さ……、凄いギャップ。
まあ、小日向さんも幸せそうだから、それでいいんじゃないかな?
このカップルの濃さの前には、ケンジの嫉妬ですら吹き飛ぶ。
 
今回のメニューは”豚汁”、”アジの干物”、”コーンのバターしょうゆ炒め”、”オクラのせピリ辛やっこ”……、THE 家庭料理という感じ。
汁物が美味しくできるというのは良いですね。
めんつゆは神。
 

#37感想

シロさんがケンジとペアリングを買う話。
こういうストーリー、ボーイズラブ作品でも無数に読んできましたが、これほどリリカルにひたれない話も珍しい。
なんせ購入目的が、結婚式二次会での女除けのためって、超現実的すぎるでしょう。
実にこの二人らしいというか、なんというか……。
滅茶苦茶嬉しそうなケンジとは対照的に、シロさんが消耗しまくってるのに笑いが止まらない。
それにしても、シロさんも指輪渡す時に値段の話しちゃうってどうなの?(笑)
そして、オチはなんとなく読めてた。
職場にカミングアウトしていないシロさんと、美容師のケンジが普段使いできるわけありませんでした。
ちゃんちゃん。
 

#38感想

ケンジが小日向さん&ジルベールと初対面する話。
小日向さんの職業が判明。
芸能人のジャーマネだから、あんな理不尽に耐えられたのか~(偏見)。
話題はシロさんのアイドル好きから、ゲイの実態へと意外な方向に踏み込んでいきます。
ジルベール、暢気そうな顔して意外と人の心を抉ってきますね。
 
シロさんがケンジから影響を受けて、以前よりも人を気遣えるようになっている事に、心がほっこりと温かくなる。
二人の関係性が、互いの人生にとって良い方向に作用しているというのが良いですね。
シロさんはオネエは入ってないが、オバチャン(というかオカン?)入っているのには頷かざるを得ないけれど。
個人的には、最も真面そうに見えるシロさんが微妙に斜め上&マイノリティを走っている点が、この作品の魅力の一つだと思ってます。

 
今回のお料理は、ホットケーキミックスを使ったバナナのパウンドケーキ。
ホットケーキミックス、便利ですよね!
ベーキングパウダーをわざわざ用意しなくていいし。
シロさんが若い頃のお母さんを思い出してゾッとしているところに笑った。
そこは懐かしむところでは?(笑)
 

#39感想

今年もまたまたこの日がやってまいりました。
毎年恒例、シロさんが両親と過ごす微妙な空気のお正月。
しかし今回はご両親とも大人しい?
お母さんとキッチンに立ち、若い時に好物だったトンカツを食べ、自分の食のルーツを知り……。
あれ?
今回は普通にイイ感じで終わるのかな?
……と思いきや、そうは問屋が卸さなかった。
 

「史朗さん、来年は彼氏をうちに連れていらっしゃい!お正月なら、彼氏さんもお休みでしょう!?」

 
やはり嵐の前の静けさでしたか(爆笑)。
お父さんの「史朗!!」(カッ)にも笑いました。
来年のお正月が非常に楽しみです。
 

#40感想

シロさんが裁判員裁判の仕事を受ける(押しつけられる)話。
ホントいざという時に限って要領が悪いですね、シロさん。
ムシャクシャしてやったのレベルが、小ぢんまりとしていてとても可愛いですが。
 
今回のメイン・メニューは豚肉とちくわで八宝菜風。
我が家はエビやイカなど魚介類を入れますが、ちくわだけでも結構出汁が出るんですね。
今度やってみようっと!