ボーイズラブのすゝめ

ボーイズラブ系のコミックス&小説の感想を中心に。

『抱かれたい男1位に脅されています。(3)』(桜日梯子/リブレビーボーイコミックスDX)感想【ネタばれあり】

抱かれたい男1位に脅されています。(3) (ビーボーイコミックスデラックス)

抱かれたい男1位に脅されています。(3) (ビーボーイコミックスデラックス)

 
『抱かれたい男1位に脅されています。(3)』の感想です。
高人と准太の出会いの物語が各自の視点から描かれた0章が開幕。
なぜ准太が高人にあれほどベタぼれなのかが明らかになります。
 

『抱かれたい男1位に脅されています。(3)』(2016年12月1日発売)

あらすじ

俳優・東谷准太はデビューしたばかりにも関わらず人気が急上昇。
早々にドラマ「太陽の小瓶」に抜擢される。
そこで出会ったのが、抱かれたい男1位に5年連続君臨している西條高人。
最初は高人の値踏みするような視線に戸惑いを覚える准太だったが、彼の清廉な演技やプロとしてのプライド、まっすぐな言動に心を奪われる。
自分は嫌われているのではないかと恐れつつも、准太の中に日々鮮烈な印象を残す高人への衝動を抑えられなくなっていく准太。
一方、高人も准太の時折見せる熱情に心を乱されていた。
 

総評

高人と准太、二人の過去編。
今までどうして准太がそこまで高人に執着するのか見え辛い部分もありましたが、この巻を読む事でその理由が説得力を伴って胸に迫ってくる。
0章がある事により、このシリーズの物語としての厚みが格段に増しました。
何となく不安定だったのが、きちんとした土台を得た印象。
絶えずモノローグだった准太の世界観を、根底から塗り替えってしまったのが高人だったんですね。
欲がないという事は生きていないにも等しい。
准太の穏やかだけれど虚ろな生に、他者を好きになるという奇麗な気持ちだけではなく、独占欲、征服欲、我執など、見ようによっては浅ましい気持ちまで刻み込んだ。
文字通り、准太の瞳には高人が世界一美しい人に見える。
無自覚にとてつもない事をやってのけてしまった高人。
准太のすべての感情が高人一人に向かっていく。
准太が高人を渇望するのは、もはや生存本能に近い。
これはもう逃がしてもらえるわけがない。
高人は覚悟した方が良いですね。
 

抱かれたい男1位に脅されています。0章 第1話

デビューしたばかりの東谷准太は、早々にドラマの主要キャストへの抜擢も決まり順調な生活を送っていた。
しかし、平穏な毎日の中にも、どこか満たされたい気持ちを抱えている。
……つーか、准太の事務所のスタッフ、濃すぎ!!
分かりやすいオネエキャラの社長&超毒舌マネージャー。
そりゃあ、皆、裸足で逃げ出してもおかしくない。
そこへ現れたダイヤモンドの原石・准太。
この二人に囲まれてこゆるぎもしないのが大物だなぁと。
 
そんな准太が今度出演するのが、西條高人が主人公を務めるドラマ「太陽の小瓶」。
社長の脳内の高人イメージ、ヒドッ!!
耳尖ってるし魔王かよ。
けれども准太はどこ吹く風。
社長は芸能事務所を背負っているだけあって、准太の中にある空虚さを薄々察しているようですが。
 
そして「太陽の小瓶」撮影初日。
読者もお馴染みの高人様芸能人格付けチェックが入りますが、なんか表情が微妙?
その後もずっと値踏みされているようで、さすがの准太も気になってしまう。
そこへ小物風を吹かせるプロデューサー・坂巻登場。
実際、こんなわかりやすいギョーカイ人っているんだろうか?(笑)
プロデューサー巻きが石〇純一氏を彷彿とさせる(熱い風評被害)。
立場の弱い女優にセクハラ&パワハラと目に余る振舞い。
准太は助け舟を出そうとするが、それよりも先に場を収める人間が……。
 
きゃ~~~、西條さ~~~ん!!!
 
さすが高人、抱かれたい男5年連続No.1。
イッケメ~ンな高人の振る舞いで坂巻退散。
おまけに直後に見せた清廉な演技やスタッフへの気遣いに、あの准太ですら圧倒されてしまう。
さらに、その後の展開が、高人らしいというか……。
口の悪さ&ホットチョコレートの本数(笑)。
そんな高人の様子に、准太は陰から驚きつつも微笑ましく見ているんですが……。
 

東谷准太…か、ふん、久々に目障りな奴が出てきたな

 
普通だったら頭にくる台詞も、今までほぼ誰にも嫌われる事のなかった准太にとっては、それすら貴重な経験だったんでしょうね。
 

今まで、こんな風に人の顔を意識して見たことなかった気がする

 
誰とも波風立てず上手くやっているというのは、裏を返せば誰も特別ではなかったという事。
ところが高人の一挙手一投足が、准太の瞳には鮮烈に飛び込んでくる。
 

胸が、空が、ざわつく音を、初めて聞いた。

 
終始凪いでいた准太の心を、高人の存在が波立たせていきます。
 

抱かれたい男1位に脅されています。0章 第2話

「太陽の小瓶」の撮影は順調に進んでいた。
だが准太と高人の間には微妙な空気が流れている。
おそらく准太の演技を一番厳しい目で見ているのが高人ですからね。
 
天性のスター性と勘の良さで観衆を虜にする准太。
豊富な経験と徹底した役の作りこみで人々を世界観に引きずり込む高人。
こうしてみると、役者としては正反対のタイプですね、この二人は。
最初は役者として高人を尊敬していると思っていた准太ですが、街頭で流された高人のCMひとつとっても高揚してしまう自分に気付く。
フリスクガリガリすると、彼はなにかやらかしますよ(予言)。
 
ある日、偶然からロケ車で二人きりなった准太&高人。
その時、高人の口から出た言葉。
 

好き

 
は!?
准太と共に唖然としてしまいましたが、これは誤解で高人は准太の演技の弱点について指摘してくれた。
フィクションのはずなのに、台詞の読み合わせをしていく内に気持ちが高まっていく准太。
 
そして、彼にとって決定的な事件が起きる。
二人きりのシーン。
雨を降らすためのノズルの故障により噴出した水から高人を庇った准太だったが、その時二人が急接近。
いつもは自信満々な高人から怯えを感じ取った准太は、それに煽られてかつてない渇望と衝動を覚える。
何事もなければ、高人にキスをしていた。
普段は天真爛漫な子が見せる”男”の表情が最高でした。
まあ、あの高人のギャップはやられますよね。
高人と「真昼の星」で再会した時、あの激情を隠していたのかと思うと、こちらもゾクゾクするわぁ。
 

抱かれたい男1位に脅されています。0章 第3話

高人へ向かっていく己の欲望を自覚した准太の演技はどんどん磨かれていく。
こういうところ、天性の才能を持つ子は本当に怖い。
高人の態度が冷たいのも、それを痛いほど感じているからなんでしょうね。
この辺り、准太が高人の言動に戸惑い、振り回されているのが新鮮。
大体いつも准太が振り回す方だから、こんな時代もあったのねと。
 
忙しさが祟ったのか、発熱して、准太の前で倒れてしまう高人。
はあ、こういう時に無意識で准太にすり寄ってしまうのが、本当に罪な人。
病院で眠る高人に思わず告白&キスしてしまいそうになる准太。
 

…西條さん、俺、あなたが好きです。
すみません、好きでいていいですか。

 
切ねぇと感じつつ、現在の准太を知っていると「これ、誰よ?」と思わないでもない。
そこへお邪魔虫佐々木マネージャー登場。
准太を上手くフォローしてくれたのは良い年長者という感じですが、この時点で二人の癒着が始まっていたのかと思うとちょっぴり背筋が寒くなりました。
高人を想って手の甲に口づける准太も、遣る瀬無いけれど心に訴えかけてくる絵ですね。
車の免許を取ったのもすべて繋がっていたんだ。
撮影終盤で役柄上目に包帯をしている高人と、それを真っすぐ見つめている准太は、この時の彼らの立ち位置を投影しているように思えます。
 

覚悟を決めて、大事なものを手に入れる準備を始めよう。

 
ちょっ、今の准太の片鱗が大分見え始めてきましたね!!(怖)
 
そして一年後。
「真昼の星」で二人は再会を果たす。
 

すみません、高人さん。
俺は必ずあなたを手に入れます。

 
コワッ、准太コワッ!!
一年間研鑽を積んで、色々な意味で覚醒しちゃいました。
高人、もう逃げられませんね。
ご愁傷様(合掌)。
 

抱かれたい男1位に脅されています。0章 第4話

准太視点は一段落。
第4話は高人視点で物語が進行します。
抱かれたい男ランキングNo1を5年連続獲得したばかりの高人。
しかしルックスだけではなく、演技力も申し分ない上にファン対応もバッチリなので、外野のやっかみや邪推は実力で黙らせる。
その調子で何人の若手を沈めてきたの?(震え)
絽美雄社長の脳内イメージはあながち外れていなかった(より酷いかもしれない)。
 
そんなある日、高人は自らの主演ドラマ「太陽の小瓶」で新人・東谷准太と出会う。
恒例の芸能人格付けチェックでは「上」。
それにしても高人様の分析能力凄い。
准太の中にある役者としての致命的欠陥、欲と執着のなさを早くも見抜く。
それでもけしかけたり、指導したりと、なんだかんだで面倒を見てきたが……。
 
例の雨のシーン。
すっかり下剋上されてしまいましたね。
そこで「俺の方が上だ、役者としても、男としても……!!」と仕事入れまくるのが高人らしいですが。
だが、無理が祟ったのか、しばらくして高人は発熱してしまう。
やはり原因は准太だったんですね。
複数視点だとこういう部分が分かって非常に面白い。
そしてあの時、ぼんやりながらも、准太の告白は胸に届いていたのね(ニヤニヤ)。
ここで現在の二人がオーバーラップする演出がニクイ。
マジで性質悪いな、准太。
 

抱かれたい男1位に脅されています。0章 最終話

0章ではご褒美シーンないと思っていたので、これは予想外でした。
現状では相思相愛な二人ですが、それでも准太が高人を求める劣情は留まるところを知らず。
ぶっちゃけほぼHシーンだった、今回。
当然ですが4話まではプラトニック(?)だったので、何かの箍が外れなのかと思ったくらい。
 

あなただけが俺の宝物です。

 
准太の抱くモノクロの世界の中で、高人だけが唯一鮮やかな存在なんですね(高人は相変わらず無自覚だけれど)。
 
ちなみに今回のおまけの描き下ろしは、准太の台本の読み合わせに付き合ってあげる高人。
まあ、十中八九こうなる事は読めてたんですけれどね。
高人は何度准太に騙されれば気が済むのか?
この巻、Hシーンの回数自体は少ないけれどいちいち濃いな。
量よりも質で勝負という感じ。
ラストは綾木をまたもや当て馬にしたバカップル。
「こんなモノ」って、相変わらず綾木の扱いが酷い准太。
このシリーズの登場人物の中で、一番シンクロしやすいのは綾木のような……、気のせいでしょうか?
 

ネトラレトライアングル 第3話

もうこの作品に関しては、3Pしてないと違和感を感じるようになってしまった自分を殴りたい。
麗しの生徒会長なのに、やはりどこか容量の悪い星悟。
そこへお約束のように現れる雪生。
そうか、これ、一応浮気になるのか……、感覚が完全にマヒしていますね。
星悟も「焼きそばパン」とか言ってる場合じゃない。
そして、彼はどうしてこうも男の嗜虐心を煽る表情をしてしまうのか?
今回、雪生って意外と星悟に対して真剣なんだなと思いました。
やる事はぶっ飛んでますが、そうしてないと三人のバランスが崩れてしまうから……。
雪生の内面にもっと突っ込んでもらいたいような気もするけれど。
思えば第1話で盗撮していたのも、もしかしたらそれよりも以前に星悟を意識していたからとか……、深読みすると切なくなるか、ドロドロになる未来しか浮かびませんが。