ボーイズラブのすゝめ

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『抱かれたい男1位に脅されています。(4)』(桜日梯子/リブレビーボーイコミックスDX)感想【ネタばれあり】

抱かれたい男1位に脅されています。 (4) (ビーボーイコミックスデラックス)

抱かれたい男1位に脅されています。 (4) (ビーボーイコミックスデラックス)

 
『抱かれたい男1位に脅されています。(4)』の感想です。
高人と准太がハワイへ行く特別編の甘々さから一転、またまた大ピンチの遭遇する二人。
今度の相手は週刊誌。
別れ話を持ち出す高人。
准太は高人を胸の内に取り返す事ができるのか?
 

 

『抱かれたい男1位に脅されています。(4)』(2017年3月31日発売)

あらすじ

高人が綾木と共演していた「紅葉鬼」もとうとう幕を下ろす。
しかし、そこは売れっ子俳優、休む間もなく新しい仕事が舞い込む。
そして、次の仕事はなんと高人が准太と付き合うきっかけとなった「真昼の星」の続編ドラマ。
再び共演できる事に喜びを隠せない二人だったが、それを嘲笑うかのように危機が忍び寄る。
スクープカメラマンである長谷川に、付き合っている決定的な証拠を握られてしまった二人。
高人は准太を護るために別れを切り出すが……。
 

総評

恋人を護るために別れを切り出すというのは、ボーイズラブだけではなく恋愛ものでは定番。
しかしこれほど数限りなく描かれているのは、それだけ読者の胸に響くテーマである証拠。
場合によっては受けが演歌的というか女々しくなってしまう危険性もあるけれど、その点、桜日先生は高人の芯の強さや俳優としてのプライドの高さを上手く描かれていたと思います。
これだけの男が自分の身を顧みず守ろうとしているのだから、准太も価値がある男なんだなというのが自ずと伝わってきます。
そして、准太を失った高人が、人前では絶対見せない悲しみや寂しさもより強調される。
あの不気味なチャームを見てこんなに切なくなるなんて、《ハワイ編》の時には思いもよりませんでした。
 
また今回、初登場した卯坂さんもイイ味出してますね。
一見クールで仕事に関しては容赦ないけれど、高人をそれとなく気遣ってくれる大人。
これまた今までこの作品にはいなかったタイプ。
恋愛は絡まないものの、高人と卯坂の信頼で結ばれた感じが凄く良い(高人を押し倒した事も併せて、准太が大魔王に転じるぐらい妬きそう)。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 in Hawaii

西條高人、とうとう海外デビュー!!
……といってもワイハへ旅行にやって来ただけなんですけれどね。
もちろん、ストーカー天使・准太もついてきています。
偶然ってどの口が言う(笑)。
まあ、高人も悪し様に言いつつも、まんざらではなさそう。
つーか、准太のプレゼントしたチャームがあまりにも禍々しくて爆笑しました。
黒魔術でも始める気ですか?
これ、絶対呪われた装備ですよね……。
 
そこへ綾木&成田君が登場。
まさに偶然の大安売りですね。
この二人が登場するとコメディ面が盛り上がるから良いけれど。
すっかりやられキャラが定着してきた感のある綾木。
高人に絡んでいって、准太に返り討ちにあうという型が出来ました。
 
ビーチバレーを楽しむ4人。
やはり高人はこういうのに熱くなるタイプだったか。
いつの間にかスポ根みたいになっている『抱かれたい男1位に脅されています。』。
ここでもはずみで高人を押し倒す綾木。
ホント懲りないというか……、背後に暗殺者がいるから。
高人も乳首丸出しにしてる場合じゃない。
下手するとハワイの海が血に染まるので、いい加減、自嘲して。
 
隙を見て、高人を連れ出す准太。
そりゃあね、准太は綾木達とビーチバレーするために、わざわざハワイまでやって来たわけじゃないから。
そしてまたもや偶然、二人は無人島にたどり着いてしまう。
待って、これ、絶対偶然じゃない!!
しかも、私の知っている無人島生活と明らかに違う。
なんだ、この至れり尽くせり。
准太のサバイバル能力が高そうなのはなんとなく察していたけれど、なんなんだ、無人島のバイトって……。
彼の過去も大概謎ですね。
 
満天の星の下で語り合う二人。
前回危機を乗り越えて以来、准太をさらに意識するようになってしまった高人が可愛い。
多分、准太の事だから、高人の心境の変化にも気づいているんだろうなぁ。
ここで紹介されているナウパカの伝説は今回初めて知りましたが、ハワイではメジャーなお話なんですね。
 
www.plus-hawaii.com
 
上記のリンク先で実物の写真が見られますけれど、本当に不思議な造形の花。
そしてこの辺り、今後の展開の伏線になっているのが上手い。
自分だったら絶対恋人の傍を離れないと、またまた虚無的な瞳を見せる准太ですが、それを和らげてあげられるのはやはり高人唯一人なんですよね。
最終的にはラブラブな高人と准太。
うん、青〇になるだろう事は大体知ってました。
 
短い休暇も終わり、日本へ帰ってきた高人と准太。
やはり無人島に関してはすべて准太が仕組んだ事だったんですね。
 

ちっくしょう…、何度も何度もハメやがって。
お前は天使じゃなくペテン師だ!!

 
ウマ……、ウマいのか、これ?
ああ、別の意味でもハメられちゃったからダブルミーニングなんですね(違)。
そんな高人と准太を見ている二人の人物。
再び嵐の予感です。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第9話

いよいよ「紅葉鬼」も千秋楽。
准太も観劇に来てくれた。
あの観衆の中で准太が輝いて見えるんだから、高人も相当准太に惚れてますね。
一方、高人にお褒めの言葉いただき感無量の綾木。
彼もかなり高人に本気ですね。
この人も高人に価値観をひっくり返されてしまったから。
でも「見逃さねぇよ!」とばかりに現れる准太。
その効果音、明らかに手が折れてますよね!?
 
舞台がはねた高揚感で、准太に対して「キス、とか一瞬なら別に…」とお許しを出してしまう高人。
いやいや、千秋楽までお預け食らってた准太が、キスだけで我慢できるわけないでしょ!!
高人の学習能力はどこで迷子になっているのか?
まあ、その申し出がなくても、准太は張り紙&施錠で準備万端だったんですけれどね。
いつもの如く抜け目のない天然策士っぷり。
そのまま控室で致してしまう二人。
張り紙&施錠の事は知らせず、高人を煽りまくる准太。
この二人、本当にSとMが見事に噛み合ってますね。
准太も衣装を着た美しい高人を抱けて満足だったでしょう。
高人と一緒の舞台に立っている綾木に嫉妬していたから。
ラストは「真昼の星」の続編ドラマ制作が決まったところで〆(今度は映画じゃないんですね)。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第10話

《ハワイ編》のラストで高人達の様子をうかがっていたうちの一人は、高人と面識があったんですね。
敏腕プロデューサー・卯坂和臣。
ぶっちゃけ『抱かれたい男1位に脅されています。』で一番タイプです(告白)。
眼鏡&タバコ&泣きぼくろがたまらん。
上等な大人の男の香りがプンプン。
彼は受けなのか、攻めなのか……、どちらでも美味しくいただけますが、すぐにそっち方面に意識が行ってしまうのは腐女子である私の悪い癖。
「真昼の星」のプロデューサーを務める事になった卯坂ですが、前作以上にヒットさせると自信満々。
高人との気心知れた感じも良いですね。
慣れ合わないけれど、信頼している男同士の会話(准太は盛大に妬きそうですが)。
しかし卯坂は准太との恋愛で色気の増した高人に危惧を覚える。
 
高人が卯坂へのあいさつを終えてビルから出てくると、そこには当然の如く准太が待ち構えていた。
へぇ~、GPSって准太基準でいうと手抜きだったんですね、なるほどわからん(遠い目)。
相変わらずな二人の日常風景ですが、なんと階段を踏み外した高人を庇って抱きしめる准太の図を、パパラッチの長谷川に撮られてしまう。
准太の野生の感がスゴイですが(マジでこの子、どういう生き方してきたの?)、さすがに長谷川の存在まではつかめず。
おまけに部屋の前ではキス写真まで激写。
長谷川も色々と拗らせていそうな人物ですが。
准太も曲者に気づいていたなら、そこは我慢するべきだったのではと思う反面、彼も高人を目の前にすると大抵箍が外れますからね。
片や、高人も准太を大切に思う気持ちが日増しに募り、同棲話も受けようかと思っていた矢先。
ついにこの時が来てしまったのね……。
高人の目の前に示されたスクープ記事。
週刊冬文許すまじ。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第11話

スキャンダルで「真昼の星」を降ろされてしまう高人。
前回、卯坂も「負け戦はしない」と言っていましたから。
もちろん、准太は納得いきませんが、今回掲載された写真では高人の相手までは分かりませんでしたからね。
准太まで降りてしまうわけにはいかない。
ここで准太は、高人の意向を汲んでよく耐えました。
 

高人、身の振り方を考えた方がいいんじゃないか?
お前自身とあっちの為にも。

 
おまけに卯坂にダメ押しを食らってしまった高人。
恋人としてだけではなく、准太を俳優としても高く買っている高人にとって、これは辛い。
さらに追い打ちをかけるように、長谷川が目の前に現れて、決定的なキス写真をちらつかせてくる。
これで、高人の決心がついてしまった……。
この後の准太の出演している作品を、おそらくすべて見返しているであろう高人の横顔が遣る瀬無い。
 

この才能は――宝だ。

 
准太にとっての高人がそうであるように、高人にとっても准太がいつのまにか宝物のような存在になっていたんですね。
だからこそ、自分のキャリアを賭しても守りたい。
上着を羽織る高人の背中が寂しい。
 
以前、二人で来た夜の工場で、准太に対して別れを切り出す高人。
よりにもよってここか~~~!!!
しかも0章で、高人を想って准太が手の甲に口づけていたのもこの場所だったんですね。
これは切なすぎる。
あえて准太を傷つけるような高人の言動に、准太が獣と化していく。
この子、高人を失ったら狂ってもおかしくない。
 

…はっ、ったく獣みたいな目ぇしやがって。
しょうがねえ、…最後だ。
そんなに俺に惚れてんなら、飽きるまで抱かせてやるよ。

 
安ホテルで抱き合う二人。
そうか……、高人のフェラって3話以来なんですね、結構期間が空いたんだ……、とか言っている場合じゃない。
第7話とはまた違った痛さがありますね、このシーン。
愛の行為のはずなのに、とことん言葉で傷つけ合う。
高人にも絶対譲れないものがあるから、頑ななほどに未練を見せない。
 
すべてが終わった朝。
帰路の途中で准太の車を降りる高人。
これ以上、一緒にいたら余計辛くなってしまうからなんでしょう。
 

…、じゃあな、チュン太。

 
ラストの一コマ、トーン処理の加減で、高人の目が微かに潤んでいるように見えました。
准太が去って、初めて見せられて彼の本音のように思えます。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第12話

表紙の准太のやらかす感が凄い。
あれほど執着していた高人をそう簡単に手放せるわけない。
長谷川と週刊冬文はとんでもない男の逆鱗に触れてしまいましたね。
 
自分の事務所でフリスクガリガリしている准太。
目が虚無。
ところが絽美雄社長の弟でファッションカメラマンをしている珠理雄が長谷川を知っている事を小耳に挟み、にわかに精気を取り戻す。
なんだか久しぶりに天使オーラで他者を転がす准太を見たような気がする。
ここで左手の甲を意識しているのは、高人を想っていると自然に出てしまう動作なんでしょうね。
 
一方、高人は外面上は仕事を順調にこなしていた。
陰口叩くスタッフも笑顔で黙らせる。
 

メンタルごときで仕事おろそかにするほどやわじゃないんだよ。
見くびるなっつーの。

 
だが、内面は准太の事でいっぱい。
准太がくれた思い出の品を片手に……、って、あのハワイでもらった不気味なチャームなんですけれどね(ここでちょっと笑ってしまった)。
しかし、そこでお久しぶりの坂巻プロデューサーが登場。
悪意はないんだけれど間が悪いというか、例のチャームを「薄気味悪い人形」と宣い、あろうことか捨てようとする。
いや、「薄気味悪い」は否定できないけれど。
なかなか自分のものだと言い出せない高人に、意外な救世主。
 

俺のです。

 
卯坂さん、カッコイイ!!
厳しい事を言いつつも、子役時代から知っている高人を気にかけてくれているんですね。
 
その頃、「魔女の雫」を撮影中の准太。
 

堕ちるのは俺だけです、花世さん。
あなたが笑ってくれるなら、俺はいくらでもこの手を……。

 
准太の鬼気迫る演技に青ざめる呑まれるスタッフ陣。
うわぁ、この役、当て書きされたのかってくらい、准太にピッタリ~(ガクブル)。
おまけにヒロインで大物女優の黒川百合江とも妖しげな雰囲気。
 
一方、卯坂の家で目覚めた高人。
酔っぱらって他人様の家を荒らしまくった挙句に撃沈(だからあれほど酒はやめておけと)。
そりゃあ、卯坂さんもお国言葉でまくし立てたくなるわ……。
 
ここからは打って変わってシリアスなお話。
准太をスキャンダルまみれにしないために、自分を餌として差し出すような条件を呑んだ高人。
 

は…っ、おおかた裸になれとかいうんでしょう。
脱いでやろうじゃないですか。

 
ここでなんと卯坂が高人を押し倒す。
卯坂さんも言っているけれど、確かに甘いですね。
どれだけ多数の人間が自分に魅了されているか、高人は分かっていないふしがあるから。
人気俳優である事とその辺の感性って、どのようにバランスを保っているんだろう?
本当に不思議。
 

お前の覚悟、俺が試したるわ。

 
卯坂を受け入れようと覚悟しつつも、どうしても准太以外の男に触れられる嫌悪を隠しきれない高人。
ここの笑顔と震える指先のギャップがたまらない。
それでも、自分の芸能人生を賭けても、准太の才能を護りたい高人の横顔は凛として奇麗でした。
 

あれ?
覚悟、試してくれるんじゃなかったんですか?

 
ずっと見てきた高人に対する卯坂なりの忠告でしたが、ここまで覚悟を示されては、もう何も言える事はありませんね。
 
場面は変わって、騒動のもとになった長谷川と週刊冬文の編集長・田部。
長谷川は「俺は立派なハイエナです」と冷めた言動をとりつつも、カメラマンとしては忸怩たる想いがあるのでしょう。
そこへやってきた准太。
公園の鳩の羽根が舞って、なにか人間離れした雰囲気を漂わせている。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第13話

前回から引き続き、准太と長谷川の対峙。
ここで准太もキス写真を撮られて事を知る。
正直、普段の彼なら激昂してもおかしくないシチュエーションですが……。
 

「この写真、なかった事にしてもらいたいんです」
「ま、そうくるわな」
「ええ、こんなもの出回った日には今の相手に嫉妬されかねない。別れた相手との写真なんて…ね」

 
その右手薬指には黒川百合江が付き合う男に贈るブラックゴールドの指輪がはめられていた。
 
一方、長谷川からその後連絡のない事に戸惑う高人の前に、綾木が姿を現していた。
なんだかんだ言いつつも、真剣に高人を想う綾木は、様子に来たのだけれど、返って檄を飛ばれてしまう。
 

全ッ然余計な事じゃねぇっつーの!
強がりやがって!

 
完全に蚊帳の外だからなぁ、これは切ない。
また、その後、准太のところへ直行する綾木が熱い。
綾木株がここに来て爆上がり。
しかし、そこで見たのは百合江と仲睦まじそうにする准太の姿だった。
 

…あいつ、何考えてんだ…。

 
一度は准太の憎悪の視線を向けられた綾木だからより説得力のある一言。
 
数日後、とうとう准太と百合江のスキャンダルが週刊誌に載ってしまう。
これで高人は衆目からは解放されたけれど、准太が百合江と付き合いだしたという情報は彼を絶望へと突き落とす。
あれだけ愛されていれば、今まで准太が他の相手と付き合うなんて想像もできなかったでしょうね。
准太の声や感触を思いながら自慰に耽るも、ぽっかりと穴の空いたような心は決して埋まらない高人に胸が締め付けられる。
 
ちなみにこの巻のおまけの描き下ろしは、後半の苦しさを払拭するが如くあほエロでした。
とにかく高人の一挙手一投足に、准太が発情してしまうのは分かった。
「ここにお前の作ったもんが入ってんのか…って」+お腹さすさすでこれだけギンギンになってしまうって、どこの思春期!?
とりあえず、このバカップルが別れられるわけがないと確信できて良かったです。
 

ネトラレトライアングル 第4話

第3話はなんとなく雪生のターンだったので、今回は優也がクローズアップされています。
星悟の家に遊びに来る優也ですが、いつもあんな目に合っているのに、星悟はどうしてここまで夢見がちなの?
アホの子なの?
星悟の妹・実月もそんな兄をすっかり格下扱い。
 
そこへ優也が登場。
分かりやすいDQNヤンキースタイルありがとうございます。
優也、中学生の時は伝説のヤンキーだったんですね、割と知ってた。
そして優也を憧れのこもった視線で見ている実月も何者なの?
それでも優也を抱こうとする星悟の根性のポジティブシンキングは普通にすごい。
まあ、いつも通り、返り討ちなんですけれどね。
抱かれる星悟の乙女化&ロリ化が著しい。
 

なんか…、俺はもしかしてとんでもない奴を抱こうとしてるんだろうか。

 
何を今さら!?
優也のルックスのキュートさと野性味あふれる男らしさに相変わらず翻弄される星悟なのでした。