ボーイズラブのすゝめ

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『抱かれたい男1位に脅されています。(1)』(桜日梯子/リブレビーボーイコミックスDX)感想【ネタばれあり】

抱かれたい男1位に脅されています。 (ビーボーイコミックスDX)

抱かれたい男1位に脅されています。 (ビーボーイコミックスDX)

 
『抱かれたい男1位に脅されています。(1)』の感想です。
通称”だかいち”。
2018年10月から12月までTOKYO MX他でアニメ化された人気作品。
8歳でデビューし、芸歴20年の人気俳優・高人と赤丸急上昇中の若手俳優・准太が繰り広げるドタバタラブコメディ。
わんこ系(時に狂犬)年下攻め、ツンデレの受けが好きな方におススメ。
 
dakaretai-1st.com

 

『抱かれたい男1位に脅されています。(1)』(2014年2月10日発売)

あらすじ

28歳にして20年のキャリアを持つ人気俳優・西條高人は、5年間死守してきた抱かれたい男ランキングNo.1の地位を東谷准太に奪われてしまう。
俳優として伸び盛りの准太に競争心を抱いていた高人は、准太主演の映画「真昼の星」で共演する事になる。
ひょんな事から顔合わせ当日に飲みに行く二人。
だが酔って醜態を高人は、なぜか准太に抱かれる羽目になってしまい……。
 

総評

表題作『抱かれたい男1位に脅されています。』3話の他、短編4編が収録されています。
表題作も含み、元々アンソロジー系が多く「出会い→ヤッてお終い」が大部分を占めるものの、各作品に描き下ろしの後日談もあり満足感は低くない。
どの作品もハイテンションとキャラクターでグイグイ引っ張っていく。
おまけの人物紹介を見るに、作者の桜日先生は脇役に至るまでかなり作りこむタイプなので、その辺りも後の人気につながっていると思います。
個人的には『抱かれたい男1位に脅されています。』の本領が発揮されるのは3巻辺りからだと考えているので、本書があまり合わなかったとしても続巻を追いかけてみるのも有り。
実際、私も出戻り組。
巻を重ねていく内に、桜日先生の絵の技量やコマ割りのセンスなども格段にパワーアップしていきます。
 
キャラクターに目を向けてみると、受けの高人はプライドが高くツンデレ気質。
しかしどこか抜けていて愛嬌があります。
1巻ではまだまだ鳴りを潜めていますが、理詰め型の役者でプロ根性もある。
長年の芸能生活で強かさもある反面、恋愛では准太にひたすら押され気味。

一方、攻めの准太は人物紹介にも書かれていますが、一言で表すとクリオネ。
見かけは天使だけれど、とんでもない肉食獣。
かといって二面性があるわけではなく「いや~、天然ってコワいですね」というタイプ。
役者としても憑依型で、とんでもないポテンシャルを秘めている。
変に重い過去やトラウマ持ちではないのが返って清々しい。
彼の原動力はひたすら高人一人だけ(ある意味厄介)。
 
表題作以外の短編だと個人的には「校舎裏の夏」が印象に残りました。
他の作品とは毛色が違い、ラブラブハッピーエンドではないが、切ないけれど爽やかな余韻を残してくれる。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第1話

「脅されている」というか、高人が勝手に罠にハマりに行っているように見えるのは私の気のせい?(笑)
ぶっちゃけ展開はめちゃくちゃ早い。
まさにジェットコースターラブ(?)。
なぜ高人は准太があれだけ大好きオーラ出しているのに気づかないのか?
よくこれだけ鈍くて、芸能界の荒波渡ってこれたなと、読者のツッコミが追い付かない。
あとトイレのドアを開けた准太がホラーだった。
映画『シャイニング』が一瞬脳裏を過った。
あれ、私はラブを求めていたのに、読むジャンルを間違えたかなと……。
まあ、本作が掲載されたのはb-boy超キチクの「エリート凌辱特集」でしたので、一応テーマ回収はされていますね。
高人がこの時点でほだされてしまっているので、作品自体には全く悲壮感がないけれど。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第2話

「真昼の星」の撮影が始まりますが、准太がいきなり不調。
高人が先輩として後輩である准太を導いてあげるのが良い。
ボーイズラブにおいて、受けが一方的に引いた立場というのがどうもあまり好きではないので、高人のように仕事面などではガツガツしていてほしい。
どうせなら、攻めを追い落とすぐらいの勢いで。

 
純太も高人の煽りに渾身の演技で答える。
やっぱりこういう天性のオーラを持っている子は怖い。
 

ま…、まぁまぁなんじゃないか?
さっきのはとりあえず褒めといてやっても…いい

 
ツンデレのテンプレ的な台詞キターーー!!!
結局、准太に倉庫へ連れ込まれてしまった高人。
これ、監督、絶対察してるでしょう(笑)。
なんだかんだと言いつつ最後はラブラブ。
今回は「がっつき攻特集」に掲載されていたんですね。
とりあえず、准太を出しておけばお題はクリアでしょう。
 

抱かれたい男1位に脅されています。 第3話

お口でご奉仕&蜂蜜プレイの回(身も蓋もない)。
自分に懐いていた准太がいきなり距離を取り始めた為、戸惑いを隠せない高人。
しかし准太も大概ですが、高人も猪突猛進というか……。
そのツンデレ具合が准太を図に乗らせてるって気づいて。
まあ、お互い収まるべきところに収まってめでたしめでたし。
 
ちなみに描き下ろしのおまけは彼シャツ。
たしかにこの高人は可愛いが(本当に28歳?)。
そうか、准太のマニアックなプレイ(1巻ではまだまだ序の口)は、この五十森助監督辺りが情報源だったのね……。
あと最後の、知らぬ間に高人の携帯番号ゲットしている准太、マジで怖いわ!!
天使の羽根生やしても誤魔化されませんよ。
 

迷える神様に愛の手を

神道の神様が受けという一風変わった話。
女グセの悪さが祟り、下界で初めて接した者の愛を得られなければ自分の名を思い出せず、神界に戻る事も許さないと、高天原を追い出された主人公。
そして、女性を物色している際に出会ったのは、不思議な迫力を持つ目つきの鋭い青年だった。
 
愛を捧げる儀式の間=ラブホに噴きました(笑)。
まあ、嘘は言っていない。
ラブホののシステムを知らないので、いい様にやられてしまう主人公。
高人と同じく、自分で墓穴を掘りまくるタイプですね。
相手の嗜虐心を無意識に煽ってしまうのが可愛い。
オチは想定内でしたが、S×Mで相性はばっちりなカップル。
末永くお幸せに。
タケルの妹だけがちょっと気の毒。
 

ネトラレトライアングル

名は体を表すというか、タイトルそのままの話。
後輩→生徒会長←後輩?
倫理的にはアレですが、ここまで悲壮感がないといっそ清々しい。
そう言えば、この短いページ数ですごく色々なシチュエーションや性癖をぶっこんできてますね。
幼馴染同士のイザコザに巻き込まれる星悟の理想と現実のギャップが哀れ。
しかし、この期に及んでいまだに優也を抱こうと思っている彼もどこかズレてる。
そして優也の変わり様もベタですが笑ってしまった。
 

彼のドSスイッチ

この作品はカップリングが結構意外でした。
最初はてっきり逆だと。
普段はオドオドしているのに、スイッチが入ると豹変する桜田にドキッとしました。
かなり良い表情。
互いに触発されて、役者として一皮むけるというのは、准太&高人とダブる部分がありますね。
演劇界が舞台になっているので、この二人も『抱かれたい男1位に脅されています。』に登場してくれると嬉しいんだけれど。
 

校舎裏の夏

他の作品とは違ったひと夏の切ないラブストーリー。
二人の心が近づいていく過程を丁寧に描いています。
ショータがいつも夏服を着ていて、手が冷たい伏線にゾクゾクしました。
ショータの笑顔いっぱいの肖像にも涙腺を刺激される。
まあ、結末は「不憫BL」に掲載された作品なのでお察しなんですが。
決してページ数は多くありませんが、なかなか心を揺すられる作品でした。
マナブにはこれから素敵な恋をしてほしい。