ボーイズラブのすゝめ

ボーイズラブ系のコミックス&小説の感想を中心に。

『GAPS RISKY DAYS』(里つばめ/大洋図書H&C Comics)感想【ネタバレあり】

GAPS RISKY DAYS 【電子限定おまけマンガ付】 (HertZ&CRAFT)

GAPS RISKY DAYS 【電子限定おまけマンガ付】 (HertZ&CRAFT)

GAPS RISKY DAYS (H&C Comics CRAFTシリーズ)

GAPS RISKY DAYS (H&C Comics CRAFTシリーズ)

 
里つばめ先生の『GAPS RISKY DAYS』の感想です。
前作『GAPS』の感想は↓から。
kashiwamochi12345.hatenablog.com
会社では王子様、しかし実態は欠点を上げたらキリがない、アブナイ部下・片桐から迫られる普通の会社員・長谷川。
そこへ片桐に負けず劣らず強烈なキャラをしている「第三の男」が現れ、長谷川の生活はさらに波乱に満ちていく。
 

『GAPS RISKY DAYS』(2017年1月6日発行)

あらすじ

一見仕事ができる爽やか長身イケメンだが、実際の性格は破綻しており問題行動の多い部下・片桐に振り回される長谷川。
おまけに電車の中で偽装痴漢の罠に落ちそうになるなど踏んだり蹴ったり。
そんな長谷川の前に、新たな部下・三浦玲央が現れる。
なんと彼は痴漢容疑をかけられた長谷川を、片桐と共に救ってくれた男だった。
押しが強い一方、人当たりも良く、すぐに部署に馴染んでしまった三浦。
だが、実は彼も相当な食わせ者。
長谷川と片桐の関係を知った三浦は、興味津々でちょっかいをかけ始める。
 

総評

「長谷川、厄介な男を惹きつけるフェロモンでも出してるのか!?」と問いたださずにはいられない第二巻。
誘蛾灯のように次々と変な人を引っかけてきちゃいますね。
今回初登場の三浦もとんでもない人間だった。
なんせあの片桐と並んで遜色ないマイペース&自分勝手っぷりで二人の仲を引っ掻き回します。
しかし三浦のおかげで若干進展したようなので、ある意味、二人のキューピットと言えなくもない(長谷川にとっては迷惑極まりないが)。
 
もちろん、元祖・横暴男である片桐も負けてはいない。
相変わらず長谷川の都合などはお構いなしに迫ってくる。
でもその中に、彼の不器用さが長谷川がなかなか靡かない事への苛立ちが垣間見えて、何となくキュンとしてしまうというか……。
はっ、いけないいけない、長谷川と同じく絆されている!?
 

GAPS RISKY DAYS 1

冒頭から偽装痴漢の罠に引っかかりそうになる長谷川。
本当についていないというか、37歳は男性の厄年ではないはずなんですが……。
けれども、偽装犯の上を行く片桐も凄まじい。
 
昨日、片桐の負った傷(女性絡みの刃傷沙汰でほぼ自業自得)がきっかけとなり、距離が近づいたかに見えた二人。
だがカップル成立までの道はまだまだ遠い。

なんせ長谷川を酔わせて、あれこれヤッちゃおうという男ですからね、油断できない(今回は長谷川の「ハードタッチ」により返り討ちにあっていましたが)。
でも片桐、睡〇姦もできる状況だったのに手を出さなかったんだから、彼なりに気を使っている?(気の使い方がオカシイ)
 
そんな二人の前にニューカマ―・三浦が登場。
この時点では、長谷川と片桐の関係は与り知らないのですが、二人の間に割って入ったり、片桐の現彼女の話を持ち出してきたりと、片桐にとってはすでに目障りな存在。
何となく片桐から不穏な空気が漂ってきた。
 

GAPS RISKY DAYS 2

仕事の編成で、離れ離れになってしまった長谷川と片桐。
おまけに長谷川が新入りの三浦ばかり構うものだから、片桐の雲行きがいよいよ怪しい。
 
今回、片桐は長谷川を本当に好きなんだなという事が伝わってきました。
「尊敬している人に誉められたらやる気出ますよ」なんて、あんなに素直に言われたらたまりません。
嘘じゃないのが伝わってくるから、長谷川も冷たくできない。
一方、長谷川の事を即物的に欲しがったり、クズな言動をとってしまうのもまた、片桐のありのままの姿なんですよね。
その振り幅の大きさに、長谷川は翻弄される。
 

…お前とじゃ、俺だけだっていう錯覚もできねえよ。

 
これはもう、自分だけだと信じさせてくれたら、片桐のものになっても良いって言ってるような……。
 
片桐も策士だから、長谷川を手に入れるために如何様にも方法をとれそうなものなのに。
時に長谷川のツボをものすごい勢いで連打してくる反面、彼が本当に求めている言葉をあげられないのが、不器用というかなんというか……。
 

GAPS RISKY DAYS 3

あぁぁ、とうとう片桐爆発。
三浦の清々しいほどのダメ人間っぷりも吹っ飛ぶ破壊力。
元祖・王子様は伊達じゃない(やってる事は王子様からはほど遠いですが)。
ただやきもち焼いているだけなら「可愛い」だけで済むのに、片桐はこれがあるから怖いんだ。
 
長谷川のある種の逃げの姿勢も容赦なく指摘して、彼を動揺させるし(指摘するのは良いとして、会社の備品は大事に扱いましょう)。
長谷川の手間をわざと増やした挙句、見下すような言動をとった三浦にブチ切れるし。
あのメンタル鋼のアイドル系クズ・三浦の青ざめて冷や汗垂らす姿も、なかなかお目にかかれないでしょう。
まあ、尊敬する長谷川をこき下ろされて怒髪天を突いたのもあるけれど、片桐の根底にあるのは「長谷川さんが俺を一番に構ってくれないのやだよーーー!!うわぁぁあぁぁん!!」という事なんでしょうね。
 

GAPS RISKY DAYS 4

長谷川と片桐の間に微妙な空気が流れる中、前回あれほど恐ろしい目にあったのに、二人の関係を嗅ぎつけて長谷川にちょっかいをかけてくる三浦。
コイツの辞書には「懲りる」とか「学習能力」といった言葉は載ってないんでしょうか?
人生順風満帆すぎて、スリルを求めているタイプなんですかね。
飲み会で酔った長谷川の写真を、軽率に片桐へ送ったりとか……。
前回、自分が長谷川に色々やらかして、片桐に前髪消滅させられそうになったの憶える?
おまけに長谷川にムラムラする始末。
余計話がややこしくなるから!!(読者としては大歓迎ですが←え?)
三浦の気持ちも分からんでもないけれど。
長谷川さん、男を知って(未遂)、匂い立つような色気と恥じらいが漂い始めたような……。
 
そこへ間一髪やって来た片桐は文句なしにカッコよかったんですが……。
 

お前と3Pはねえから。

 
言ってる内容は、やっぱりいつもの片桐だった。
でも、ずっと避けられていた片桐が迎えに来てくれて、長谷川も嬉しかった様子。
一方、片桐が長谷川を避けていた理由を要約すると「好きな子の自分しか知らない顔を見たかった」という事ですよね。
やってる事はえげつないけれど、今さらながら好きな子虐める小学生みたいだな、片桐。
 

GAPS RISKY DAYS 5

前回から続いて押せ押せの片桐と、流れでパチスロに行く事になった長谷川。
だから、なんで自分の貞操をわざわざ危機に晒すような賭けをしちゃうのかな~!?
ここからの片桐は、ただのギャンブル狂いなのか、長谷川を手に入れるために懸命になっているのか、正直微妙ですが(笑)。
結局、パチスロは大当たりした長谷川の勝ち。
しかし片桐の「勝ってもっと一緒にいたかったな」という言葉に長谷川がキュンとしちゃったので、片桐は試合に負けて、勝負に勝ったと言えるかもしれない。
 

――なあ、片桐、俺は別にその…、普通に過ごすだけなら全然…。

 
長谷川が片桐に心を開きそうになった瞬間、まったく「普通」じゃない雰囲気になって、あまりのタイミングにちょっと笑ってしまった。
若造共、知らないとはいえとんでもないのに絡んでしまいましたね。
長谷川に手をかけた途端、吹っ飛んだチンピラA。
プラス、片桐が割れたガラスをチンピラBの頸動脈辺りにあてた途端、長谷川と一緒にいて「普通」はあり得ないと思いました。
 
何とか切り抜けて、片桐のマンションにたどり着いたものの、そこはまた汚部屋だし、長谷川も疲労困憊。
 

お前といると本当に疲れる。
ーー…お前なんか好きになりたくない。

 
これは片桐に「好き」って告白しているようなものなんだけれど、長谷川のそのまま正直な気持ちでもあるんでしょうね。
片桐と付き合うのは、社会通念的にも、長谷川の年齢的にも、その他色々な意味でしんどすぎる。
だが、そこで長谷川を気遣って引くような片桐ではない。
 

無理ですよ。
俺が長谷川さんを好きなんだから。
当然、長谷川さんも俺を好きじゃねーと。

 
ホント清々しいほど自分勝手ですね。
まさにジャイアーニズムの申し子。
しかも、それが長谷川が最も求めていた言葉だから本当に始末に悪い。

片桐も厄介だけれど、長谷川も大概拗らせているというか、面倒くさいなぁ。
そこが可愛いんだけれど。
だから片桐も図に乗ってやりたい放題。
さすがに後ろの穴は無理でしたが……、いきなり本丸に突入するようなものだからね(?)。
つーか、自分が無理な事、人に強いるなよ(笑)。
 
そこへ再度、三浦が現る。
コイツも普通にストーカーですね(笑)。
長谷川達がチンピラに絡まれたところ動画に撮ってるし。
そして、何気に今回一番の衝撃。
えっ、童貞だったの!?
というか、むしろ「今までやりたいって思ったことないんですけど」に衝撃を受けたんですが。
それで生まれて初めてムラっときたのが長谷川ってヤバいわぁ……。
あとアレも片桐よりデカいとか……、片桐が毛嫌いする要素だらけ。
 

MELT

第5話の続きで良い雰囲気の二人。
長谷川の「普通」の基準とか、「わかんねぇよ」と泣いちゃうところとか、ちょっと乙女入ってますね。
37歳にしての初めて尽くしですから、戸惑ってしまうのも分かりますが。
あとね、長谷川に手でしてもらっている片桐の表情は必見。
誰ですか、アレ!?(驚嘆)
不覚にも片桐に萌えちゃったじゃないか!!
なんつー幸せそうな顔してくれるのさ!!
やべぇ、どんな殺し文句よりも片桐の本音が駄々洩れで、こっちが赤面する。
そしてラスト……、これは長谷川に「おめでとうございます」と言っていいのか?
長谷川も、片桐への気持ちが如実に表れてしまったというか、これぞまさしく「身体は正直だな」というヤツですかね?(ゲス顔)