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『食べてもおいしくありません』(山田2丁目/リブレビーボーイコミックスデラックス)感想【ネタばれあり】

食べてもおいしくありません【電子限定かきおろし付】 (ビーボーイコミックスDX)

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食べてもおいしくありません (ビーボーイコミックスデラックス)

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山田2丁目先生の『食べてもおいしくありません』の感想です。
世界人口の9割を占める「オニ」と、希少種になってしまった「ヒト」が繰り広げる異種族間ラブコメディ。
 

『食べてもおいしくありません』(2019年5月10日発行)

あらすじ

世界人口の9割を、頭にツノのある「オニ」が占め、今や希少種となった「ヒト」と共存する世界。
大きなツノを持ち、校内でも注目される穂高が体調を崩しているところを偶然助けた日和。
だが、それがきっかけで、日和が「ヒト」だという事が穂高にばれてしまった。
ずっと隠していた正体を知られてしまい焦る日和だったが、おまけに穂高に「おいしそうな匂いがする」と迫られてしまい……。
 

総評

「オニ」と「ヒト」が共存するという作品世界。
「オメガバースの亜種っぽいな」というのが第一印象でした。
dic.nicovideo.jp
個人的には、折角独自の設定を編み出したのにも関わらず、今ひとつ活かしきれていないのが残念だなと。
互いに「オニ」や「ヒト」である事への葛藤があるわけでもなく。
「ヒト」が自分達の正体を隠す必然性もあまりなさそう。
作中で「ヒトはオニを惑わす」と言っていますが、その事によって「ヒト」が迫害されている様子もない。
 
そもそも「ヒト」が1割しかいないという事なんですが、確かに珍しいけれど、10人に1人というのはそれほど少なくない。
たとえば日本人の血液型別の比率を見ると、AB型の占める割合が100%中のおよそ9%だそうです。
それを鑑みると、「オニ」と「ヒト」との間で、あまりにも知識の擦り合わせがなされていなさすぎではないでしょうか?
 
まあ、先生自身が「ケモミミ感覚のツノ」とおっしゃっているので、そこを掘り下げるのは野暮かもしれませんが。
ただゆるふわ設定なのは百歩譲っても、恋愛物としても、コメディとしても、エロ重視にするにしても、振り切れていない感があります。
巨ツノとか、日和の発する匂いやフェロモンにホイホイされる当て馬とか、エピソードを広げようと思えば広げられたでしょうけれど、いずれも小さくまとまってしまっている。
ボケ×ボケで、モダモダと堂々巡りしている日和と、彼に対する「好き」を自覚しきれない穂高はそれなりに可愛いんですけれどね。
逆に主人公二人にキャラ萌えできないとかなり厳しい。