ボーイズラブのすゝめ

ボーイズラブ系のコミックス&小説の感想を中心に。

『恋するインテリジェンス(6)』(丹下道/幻冬舎バーズコミックス リンクスコレクション)感想【ネタばれあり】

恋するインテリジェンス (6) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (6) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス  (6) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス  (6) (バーズコミックス リンクスコレクション)

 
丹下道先生の『恋するインテリジェンス(6)』の感想です。
今回は第118期官の先森篠雅と柳介次の物語。
先森大好きな柳に対して、なぜ先森があれほどまでに塩対応なのか?
また、秋草室長をはじめとした第108期官(先森や柳などから見ると「親世代」)の事も徐々に明かされてきて、大変興味深い巻でした。
 

『恋するインテリジェンス(6)』(2018年11月24日発行)

あらすじ

仕事では息の合った働きを見せる先森と柳のバディだが、彼らには恋人関係を解消した過去があった。
現在室長を務める秋草がまだ補佐だった時代に発生した、D国の秘密文書に纏わる失態で、秋草と当時のバディ・我玄は破局。
その件で責任を感じた先森も、柳に別れを告げた。
だがその後も、柳は変わらず先森に対して誠意を示し続け、先森も内心では彼を忘れきれない。
しかし、柳に好意を寄せる女性の存在や、彼になにかある度に傷つく自分に嫌気がさした先森は、あらためて二人の関係を完全に終わらせようと決断する。
 

総評

ずっと気になっていた柳×先森のお話。
クールさで鳴らしている先森の意外な一面が次々と見られて、目から鱗。
柳の代わりに、彼がプレゼントしてくれたライオンのぬいぐるみを抱きしめて寝ているとか、可愛いが過ぎない!?
また怜悧な仮面の下に、彼が様々な想いを隠してきたのも痛ましい。
柳が昔と変わらず労わってくれているのが分かるから、余計辛かっただろうな。
柳が負傷して、彼にもしもの事があったらと震えてしまったり、ジェシカに嫉妬したり。
でもそれを上手に表に出せない不器用さが、もどかしくも愛しい。
 
そして、そんな先森を待ち続ける柳の一途さも格好いい。
今まで先森大好きっ子の万年思春期みたいな面がクローズアップされてきましたが、良い意味で印象が覆りました。
精神的にとても成熟していますね、彼。
かと言って、枯れているわけではなく、ギラギラした部分も秘めていて。
先森との関係性を経る事により、どんどんいい男に変貌していったんだろうな。
 
今回は柳×先森の物語ももちろんですが、彼らが別れる原因となった秋草室長他第108期官の話もドラマティックで、大変読み応えがありました。
また、この第108期官が美味しそうな面子ばかりなんだ、これが。
108期のメンバーは皆、多忙で本省にいる事が少ないって、そんな殺生な……。
現在、秋草室長と我玄の関係がどうなっているのか、そしてこれからどうなっていくのかも、非常に気になります。
柳×先森の事はひと段落つきましたが、食指が動く人物やカプがさらに大量投入されたという、嬉しい悩みの尽きない巻でした。
 

恋するインテリジェンス class:#118-1

仕事ではナイスコンビネーションを見せるのに、二人っきりになった途端、微妙な雰囲気を醸し出す先森と柳。
先森に何らかの心の引っ掛かりがあり、柳からあえて距離を置いている様子。
 
今回は前巻の「差形怜司の解答 ~数式は鷹に恋をする~」と同時間軸のお話。
鶏楽が藍染絡みで仕事放棄して、蔵本はまだルーキーなのに、とんでもない事に巻き込まれてます。
鶏楽の下に付くって、人生ハードモード通り越して、ナイトメアモードだなと同情。
つーか、鶏楽、切れ者なのに、藍ちゃんいないと使い物にならな過ぎ(笑)。
確かこの時、藍染と連絡取れないというのも、半日ぐらいの間だけだったんですよね。
藍ちゃん、どこの箱入りお姫様ですか?
秋草室長からは「それぐらいお前らで解決しろ。じゃあな」とありがたいお達しだし、フォローする牛通堂も大変だ。
常識人が苦労する、そんな『恋するインテリジェンス』。
その頃、秋草室長は因縁浅からぬ感じの男と再会していましたとさ。
 
場面は変わって、I倉を乗り切っても、まだまだ研修が続くルーキーズ。
高笠はプレゼント攻撃が激しすぎて、当の深津に若干引かれ気味。
これだから、くそボンボン(蔵本命名)は……。
まあ、なんだかんだで仲良くやっているようではありますが。
一方、I倉を経た事により、返って微妙な空気になっている供威×黒瀬などもいる。
指先が触れ合っただけでギクシャクするとか、甘酸っぱいですね(ニヤニヤ)。
 
そんな彼らが受ける研修は……。
 

先森先生が男をめろめろにする方法を披露してくれるぞ!!

 
先森のバディである柳が、一番うっきうきわくわくしていて噴き出しました。
「遠足前の小学生か!?」というぐらいのテンション。
あなた、いつも任務で先森のお色気シーンは見慣れてるんじゃないの!?
柳は、先森を待ち続ける大人の男の愁いと、同じく先森を前にした時の思春期的なノリの落差が面白い。
 

恋するインテリジェンス class:#118-2

先森教官のお色気実習。
まず使われている教材に爆笑。
やはり第二巻「恋するインテリジェンス operation 001」の時のカリム王子誑し込み動画、お手本として使われていたんですね。
かけ値なしにお見事なテンプテーションだったから。
この映像は、これからも外務省で大事に引き継いでいってもらいたいですね。
眞御ちゃんが知ったら憤死する事確実ですが。
 
続いてルーキー達の実技演習。
まず武笠×深津。
結果は……ダメだ、こいつら(笑)。
深津、棒だし(これはこれで可愛いですが)、武笠は深津相手だと常時扉がオープン状態だし。
他の面々も、I倉パスしたとはいえ、まだまだ実践レベルからはほど遠い。
TC×TCやBC×BCは確かに無茶苦茶見てみたいけれど。
 
比べて、柳×先森は貫禄の駆け引きですね。
柳はあれだけはしゃいでいたのに、ヤる時はヤるのがさすが。
なんだか途中から私情が混じっていましたが。
それに対する先森の対応がスゴイ。
結局、最後は力技!?
 
後半は、私が密かに推している鶏楽×藍染と春日×木菜が、たくさん摂取できて大満足。
鶏楽、藍ちゃんに構ってもらうためだけに、熱々のコーヒーを自らにかぶるって、相当ぶっ壊れていますね。
長年付き合いのある同期ですらドン引き。
藍ちゃんになにかあったら、鶏楽は果たしてどうなってしまうのか、見たいような、見たくないような……。
調整役の牛通堂も、鶏楽に手を焼いてますね。
一歩間違えると、敵対勢力よりも性質が悪いから。
藍ちゃんも鶏楽に甘々。
深津といい、この親子はチョロ過ぎ。
 
春日×木菜の、恋するクズ男の華麗な手のひら返しも面白い。
春日と一緒にいる柳が、もの凄く真面に見えるのは気のせい?
春日×木菜がメインのお話も是非読んでみたい。
柳が呪っているように、春日がこのままフられ続けるのも、それはそれで一驚ですが。
 
今回は謎に包まれていた秋草室長についても、様々な事実が発覚。
バディだった我玄の存在。
秋草室長、今までTCかBCか曖昧でしたが、我玄と並ぶとBC以外のなにものでもない色香。
我玄も渋い。
酸いも甘いも嚙み分けた44歳同士、美味しすぎ。
そして、秋草室長、先森と眞御、両方の師匠だったんですね。
一人のトレーナーに、二人のトレーニーって有りなんだ。
しかも、あの腕利き二人を仕込んだって……。
それだけでも、室長が飛びぬけて優秀な人物だという事が察せられます。
 

恋するインテリジェンス class:#118-3

深津の訓練レポート(ぶっちゃけ苦情)がきっかけで、Hがねちっこい事を春日と聖前の両先輩に指導された武笠は、「一般的」とは何かと哲学的な命題(?)を模索中。
しかし、春日の指導(という名の脅し)もアレですが、聖前も王子様スマイルの裏に一癖も二癖も厄介なものを持ってそう。
 

とりあえず針生主任に相談してみるか。

 
武笠、なぜ普段の針生の所業を散々見ていて、そういうチョイスになるのか!?
もう入り口からして間違ってるから。
あの人も「一般的」から相当かけ離れるから。
 
早々に針生の眞御ちゃんセクハラを目撃してしまった武笠。
……これは予想以上にひどい。
そのルックスと眞御への愛があるから許されてるが(いや、許されないか)、訴えられてもおかしくないレベル。
言葉のチョイスがもうね、ド変態以外のなにものでもない。
眞御ちゃん、一発と言わず殴っていい。
高笠も相談する人はちゃんと選べ。
国際情報統括官組織に「一般的」なTCが存在するかどうかは、甚だ疑問だけれど。
ひょっとしたら、砂漠の中から砂金を見つけるぐらいの確率じゃないでしょうか?
 
一方、柳×先森は徐々にシリアスムードになってきました。
柳は本当に懐深いですね。
苦労して手に入れた招待券が無駄になってしまったのに、あんな風に悠然と構えていられる人間はそうそういない。
先森も柳の心遣いは身に染みてわかっているんだろうけれど、それに素直に寄り掛かれないのには、よっぽどの理由があるわけで……。
柳が潜入調査で負傷してしまった時の先森の怯えなどからも、彼が柳を愛しているのは明らか。
 
後半は、とうとう先森と柳の関係が拗れた原因が明らかになる過去編に突入。
皆、若ッ!!
柳×先森の初々しさも捨てがたいが、我玄×秋草が凄くイイ。
秋草の気まぐれな猫のような奔放さと辣腕家ぶり。
そんな彼を包み込む我玄の安定感。
最高ですね。
今更だけれど、このシリーズ、気になるカップルが多くてキリがない。
 

恋するインテリジェンス class:#118-4

今回はとにかく切なかった。
彼らの任務である諜報活動は、いつも危険と隣り合わせなのだなとあらためて実感。
互いを愛しつつも、道を違えていく秋草と我玄。
秋草以上に大切なものなどない我玄と国防に命を懸ける秋草は、ついにバディを解消せざるを得なくなってしまう。
 
任務に関する失態、そして秋草と我玄の関係破綻に、責任を感じずにはいられない先森。
彼が恋人としての柳に別れを告げたのは、秋草への絶対的な忠誠心もあっただろうけれど、秋草と我玄に自分と柳の姿を重ねずにはいられなかったんでしょうね。
我玄が秋草の盾になったように、柳もまた、先森に何かあったら身を賭しても守ろうとする一途な男だというのが分かっていたから。
柳はそんな先森の決断を尊重し、ずっと見守っている。
千散の言う通り、いい男ですね。
危うい仕事に身を置いているからこそ、先森には後悔してほしくありませんが。
 
しかし、先森の複雑な心情に追い打ちをかけるように、柳にベタ惚れな当て馬・ジェシカ嬢が現れる。
「これは面白くなって参りました」と、千散と同じくニヤニヤが止まらない。
 

恋するインテリジェンス class:#118-5

空気の読めない女・ジェシカ(BCの視線が痛い)の登場や、柳になにかがある度に動揺する自分に嫌気がさしてしまう先森。
そんな彼に、いつもはジャイアンな秋草室長も「親」らしい言葉をくれる。
彼なりに柳と先森の現状に思うところがあっただろうし、なんだかんだ振り回しつつも「子」である先森が可愛いんだろうな。
だが、先森の決意は固く、柳との関係を決定的に終わらせようとするが……。
 
中盤は、古き良き月9ばりのすれ違いを乗り越えつつ、大逆転で見事ゴールイン。
先森の一世一代のデレがたまらん!!
冒頭のぬいぐるみを抱きしめるシーンといい、今回の先森、ちょっと可愛すぎない!?
いつものツンツンも大好きだけれど、今回の破壊力はちょっと次元が違いました。
 
柳もよくぞここまで待ち続けました。
男気が報われてましたね。
どさくさ紛れのプロポーズも良かった。
冒頭のエンゲージリングの伏線も無事回収。
 
そんな訳で、柳は幸せそうで大変結構ですが、今までの反動で発汗がとんでもない事になってます(笑)。
深津を前にした武笠辺りもそうだけれど、病院行く事をおススメする。
先森が愛しいあまり、自律神経が狂ってるとしか思えないんですが。
 

恋するインテリジェンス class:#118-6

もう二人の間を阻むものは何もないという事で、先森の自宅で久しぶりに抱き合うご両人。
柳、いつものテンションの割には、比較的普通のセックスするのにちょっとビックリ。
つーか、やはり針生・武笠師弟が「一般的」ではないんだなと……。
まあ、あの二組の場合は、受けが超初心者で流されっぱなしになってしまうのも敗因(?)の一つですが(だからってヤりたい放題していいわけじゃない(笑))。
その点、先森はデれつつも、手綱を放していない感がありますからね。
この域に達するには、眞御と深津もさらに研鑽が必要。
 
しっかし前回に引き続き、今回も先森が可愛くて仕方なかったです。
味折の件を実は気にしていたのももちろんですが、極めつけのぬいぐるみ抱きしめ事件。
柳からもらったぬいぐるみを、彼だと思って何年も大事にしているとか……。
普段の塩とのギャップが尊すぎる。
これは柳じゃなくとも、発狂するぐらいの健気さ。
 
後半は秋草室長がとんでもない男前だった件。
これは「秋草室長、一生お傍でお仕えします!!」ってなるわ……。
先森も「親」の前では、あんな表情するんだなと感慨深い。
それにしても、我玄と室長の関係って現状どうなってる&この先どうなっていくんだろう?
この二人のアダルティな話も、今後に是非期待したい。
 
ラストはバカップル……というか、先森バカが悪化した柳のターン。
柳が「好き(ハート)」しか言えないマシンになってますが、先森も何のかんの言いつつも、やぶさかではない様子でめでたしめでたし。
 

描き下ろし・俺だけが知ってる先森のこと

柳視点で、彼が先森を如何に愛しているかという話。
本編読んだら、そんな事は読者も先刻承知済みなんですが、本人的にはまだまだ全然語り足りなかったようです(いいぞ、もっとやれ)。
全編通してノロケの垂れ流し。
とにかく「かわいい(ハート)」、「好き(ハート)」、「愛してる(ハート)」のオンパレード。
 
片や、先森のツン成分多め&口が悪いですが、それもまた良きかな。
それが、たまに垣間見えるデレをさらに引き立てる。
Hシーンも#118-6が比較的大人しかったので(アレで?)、今回はかなりアクロバティックな体位にも挑戦。
なんか濡れ場というよりも、新手のペア競技に見えない事もないですが、二人が幸せならそれでオールオーケー。