ボーイズラブのすゝめ

ボーイズラブ系のコミックス&小説の感想を中心に。

『恋するインテリジェンス(4)』(丹下道/幻冬舎バーズコミックス リンクスコレクション)感想【ネタばれあり】

恋するインテリジェンス (4) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (4) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス  (4) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (4) (バーズコミックス リンクスコレクション)

 
丹下道先生の『恋するインテリジェンス(4)』の感想です。
今回はいよいよ武笠×深津のルーキーカップルが、てんやわんやの末に結ばれるまでが描かれます。
美しい外見とは裏腹に、恋愛経験のない深津が可愛くて仕方がない。
武笠のために、なけなしのお金をはたいてプレゼントを用意したり、手料理をご馳走したり……。
これは武笠ならずとも、メロメロになります。
 

『恋するインテリジェンス(4)』(2017年3月24日発行)

あらすじ

バディを組んでしばらく経つにもかかわらず、ギクシャクした雰囲気を拭えない武笠と深津。
いかにも遊んでいそうな深津に複雑な気持ちを抱く武笠。
そして深津もまた、武笠の事が気になりつつも、貧困に喘ぐ自分と財閥の御曹司である武笠との境遇の差をひしひしと感じていた。
おまけに、第128期の同期である白戸が武笠に急接近し、深津の疎外感は一層深まっていく。
 

総評

まず巻頭の~華麗なる「恋するインテリジェンス」の世界~がスゴイ。
情報がびっちり。
複雑な組織図、専門用語、多数の登場人物達。
この作品の世界観の作りこみが半端ではない事が分かります。
まさに「お前ら、ちゃんと予習復習しとかないと授業(?)に付いていけなくなるぞ!!」という感じで。
内容は下ネタ炸裂なんですけれどね。
ここまで舞台設定を整えて、真面目にエロエロエンターテインメントやっている、その心意気が大好き。
 
今回は第1巻からずっと引っ張ってきた武笠×深津がいよいよくっつくという事で、話数もかなり割いており、気合が入ってます。
個人的にも武笠×深津は好きなカプの一つなので、読んでいて無茶苦茶楽しかったです。
予想以上にちゃんと恋愛していてキュンキュンしました。
いや、このシリーズ、肉弾戦が多いから、きちんと手順を踏んで両想いになっていく過程がなんだか新鮮でした(まあ、彼らも最終的には肉弾戦なんですが)。
 
あと武笠や他の国際情報統括官組織の面々に振り回される深津が可愛すぎた。
このルックスとピュアさで、よく今まで無事だったなと。
亡き父から莫大な借金を引き継ぎつつも、思い出の詰まった家を守ろうとしている姿が健気。
攻めの武笠も超お金持ちで格好良いのに、肝心なところで鈍いのがたまらん。
二人がちょっとした事ですれ違うたびに、終始ニヤニヤする不気味な生き物と化していた私。
 

恋するインテリジェンス class:rookie 002-1

冒頭、小松菜一束40円に喜びを禁じ得ない深津がキュート。
しかし直後に、ファッション雑誌主催のパーティーで超VIP待遇な武笠と、住む世界が違うのだなと自覚させられるのがツラい。
武笠もいまだに深津が遊び人だと勘違いしているし、相変わらず微妙な空気の二人。
おまけに武笠と同期の白戸の仲が怪しげでヤキモキさせられます。
深津が武笠のために真心こめて作った手作り弁当も、結局食べてもらえなかった。
王道少女漫画チックな設定なのに、『恋するインテリジェンス』だと、途端に異彩を放っているように見えるのは私だけ?
 
まあ、後半はいつものノリなんですが。
 

TCの体に一切触れることなく、TCを勃起状態にさせること。
相手の体に触れずに、相手を興奮させなさい。

 
「いや、先森教官、超真面目な顔で何おっしゃってるの!?」とか、ツッコむのは野暮なんでしょうね(ツッコむけれど)。
  

恋するインテリジェンス class:rookie 002-2

BCなら皆できて当たり前。
これぐらいのことができなくて、CⅡSEAが務まると思ってるのか。

 
す、すげぇな、N国の官僚達。
求められるハードルがあらゆる意味で高すぎ。
もちろん、物慣れない深津は困惑するばかり。
そして考え付いた苦肉の策にくっそ笑いました。
ぼ、望遠鏡!?
エリートの心理、凡人の私にはマジ分からん……(遠い目)。
 
確かに、例えば江戸川乱歩の著作群でもテーマになっているように、窃視が人を高揚させるというのは、かなり的を射ているんですけれどね。
武笠の方も明らかに新たな性癖の扉を開いてしまったようだし。
深津を追いつめて、楽しんでいるようにしか見えないんですが。
胸もんじゃって「この変態っ」と殴られるのも、ラブコメのお約束ですね。
 
実習で暴走しそうになった武笠は、直属上司の針生に注意を受けるが……。
職場で眞御とイチャイチャパラダイスなこの人にだけは、武笠も言われたくないだろう。
 
そんな中、深津の借金問題の悪化や、武笠と白戸の親しげな関係(武笠×深津のバディ交代!?)など、相変わらずエロとシリアスの狭間で翻弄される読者。
後半は違法カジノ絡みの潜入調査。
武笠×深津に与えられた司令は……。
 

派手なSEXしろ。

 
いや、ターゲットの興味を引く方法、他にもあると思うんだけれど、よりにもよってソレ!?
これ、単に鶏楽の趣味じゃないよね!?
 

恋するインテリジェンス class:rookie 002-3

表紙のTCの身長比較、皆、デカいなぁ。
身長190cmオーバーどころか200cm近いのもざら。
股下も100cm以上だし、どうなってるんだ、この国家組織。
BCからして170cm台がうようよしてますから、このぐらいガタイがよくないと抱けないんだろうけれど。
 
前回から引き続き、上司命令でSEXする事になってしまった武笠×深津。
まあ、あくまでフリのはずだったんですが。
深津に拒まれた事によりヒートアップしていく武笠。
知らぬ事とはいえ、初心者にそんなご無体な……。
我々にとってはご褒美なんですけれどね。
もっとえげつない事いっぱいしちゃったのに、キスひとつで戸惑うのが甘酸っぱい。

惹かれつつも、さらに空回りしていく二人。 
せっかく武笠からプレゼントされたオーダースーツ着て待っていたのに、任務に誘ってもらえなかった深津が切なすぎ。
暗い部屋の中で、一人正座してる姿を見ていると、良い子良い子してあげたくなる。
確かに深津も分かりにくいけれど、武笠もまだまだ修行が足りんのぅ……。
そう言えば、彼ら、まだ20代前半の若造なんですよね。
あのルックス&迫力だから、その事をすっかり失念しておりました。
 

恋するインテリジェンス class:rookie 002-4

今回はBC達の女装が麗しかった。
リアルでやったら罰ゲームですけれどね(見る方にとっても見られる方にとっても)。
彼らならまったく問題ナッシング(他の職員にセクハラされる事に変わりはありませんが)。
 
先日、ホテルで深津のいやらしい姿を見てしまって以来、あ~んな夢やこ~んな夢を見てしまう武笠。
うんうん、アオハルアオハル。
おまけに罪悪感や苛立ち、嫉妬から心にもない言葉を投げつけて、深津を傷つけてしまう。
 
一方、深津は白戸へのコンプレックスに苦しみつつも、武笠に彼の愛用ブランドのデウハウスのボールペンを誕生日プレゼントとして用意したり、シャツのボタン付けしてあげたり。
なにこの嫁最高か!?
貧乏なのに涙ぐましい努力でプレゼントの為の資金を調達したり(とりあえずパンツを売らないで済んで良かった)と、これで深津を悲しませたら、武笠、男じゃない。
ラスト、二人の距離がやっと縮まったのが感じられて本当に良かった。
まさか『恋するインテリジェンス』に感動させられる日が来ようとは……!!
 

恋するインテリジェンス class:rookie 002-5

怒涛の展開の最終回。
冒頭、武笠と深津のぎこちなさに萌え。
ここでいつもの『恋するインテリジェンス』なら寝技で一本それまで(?)になりかねないんですが、このちょっとずつ互いの事を知っていくジレジレ感がたまらん。
大の大男がちゃぶ台囲んで食事するシーンは「新婚かよ!?」な雰囲気だし、二人でお布団を共有するのも良いですね(もちろん、この時点でHは致しません)。
だが、その時間も永遠ではない。
自分のために開かれる超セレブな誕生パーティーに出席するため、帰らなければならない武笠。
やはり彼ら二人は住む世界が違うのか?
 
その後、ひょんな事から武笠と白戸が親しげにした理由が明かされる。
白戸、真面目な外見からは想像できないほど、ヘビーな人生を歩んできたんですね。
そしてかなりの木菜ガチ勢だった。
つーか、木菜さんが格好良くて惚れる。

効率重視&クールなんだけれど、それでも一人の人間の人生を変えてしまったんだから凄い。
初登場時はもっとオドオドした人かと思っていましたが、これは嬉しい誤算。
 
誤解も解けて、さらに良い雰囲気になった武笠と深津だったが……。
ところが、ここで深津の借金問題が急浮上。
おまけに銀行員の園目は、借金返済(17億ってどんなアコギな商売!?)を迫るばかりではなく、見目麗しい深津自身も狙っていた……、というか、これ、普通にストーカーですよね……。
そこへ深津への想いを自覚し、この度スパダリに進化した武笠が登場。
古き良き警察ドラマも真っ青の、大量の車で深津宅へ乗り付ける。
「連れて行け」って、これ、園目さん、どこに連行されちゃったのかな?
まさか東京湾辺りに沈(以下省略)。
 
ここからは高笠×深津、二人っきりのプロポーズタイム。
高笠、このシリーズ界隈ではかなりの朴念仁だと思っていたけれど、ごめんなさい、彼の事を甘く見てました。
さすが、『恋するインテリジェンス』界の攻め、輝くような愛の告白をぶちかましてくれる。
いや、比喩でもなんでもなく、吹き出しがトーン処理でキラキラしてますからね。
セレブは吹き出しからして平民とは違うのだなと、目から鱗が落ちる。
 
さらに、財産の残高証明書類、戸籍謄本、人間ドックの結果報告書まで持参。
御曹司の愛は予想以上に重かった。
もちろん、深津の返事はOK。
 
だがこのN国、そもそも法律上でも男×男の結婚は認められているんだろうか?
武笠財閥の権力をもってすれば、法律を変えるのも可能かもしれませんが。
まだまだこの世界には不思議がいっぱいだ。
 
翌日。
深津の事を気に入っていた同僚の蔵本に、深津と婚約した事を報告に行く高笠。
牽制の意味も多分にあるんですけれどね。
ここで高笠が深津へ密かにSPをつけ、過去の恋人についても調査しているのが発覚。
やっぱり、お金持ち、超怖い。
でも高笠が蔵本に「まじかよ、正気か」と問われていましたが、大丈夫ですよ。
N国の国家システムの狂気性と比べれば、全然問題ないレベル。
 
それはそうと、高笠、深津大事さからたまに歯止めが利かなくなるけれど、見事なスパダリっぷりだったと思います。
I倉実習以前のH禁止ルールがあるとはいえ(これまた今さらのルールですが)、深津とキスや同衾していても一線超えない。
優しく包み込む感じがすごく良い。
本当は愛しい深津を滅茶苦茶にしたかっただろうに。
個人的には「頑張ったで賞」か「我慢強いで賞」を進呈したい。
深津が家や家族を如何に大事にしているかや、彼の繊細さを理解してるんでしょうね。
 
そして後日。
満を持してのI倉実習=H本番。
おまけに深津の純潔をとうとう知ってしまった高笠。
そりゃあ、色々な部分も爆発するよね。
なんか湯気やら、大量の汗やら、分泌物が凄い事になってるし……、目は虚ろだし……。
彼の様子を観察してみるに、人間、やっぱり我慢は体に良くないよねと(「優しく包み込む感じがすごく良い」と言った舌の根も乾かぬうちから)。
結果、上司の針生と同じく、新たな伝説を作りましたとさ。
うん、この師匠にして、この弟子という感じ。
「はあはあ」カウンターは、師匠をも勝っていたような気がしないでもない。
 
とりあえず、第二室所属第128期官、I倉実習全員合格で大団円。

描き下ろし・class:rookie 002-1 sidestory 会議の後で

002-1でジャンキー絡みの潜入捜査から帰ってきた後の柳と先森の会話。
柳が先森に寄っかかっている姿に、長い時間を共有してきたバディならではの信頼感が漂っている。
柳が茶々を入れて、先森が塩対応するのがこのバディのデフォですが、この二人も色々と訳ありの様子ですね(室長が絡んでる?)。