ボーイズラブのすゝめ

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『恋するインテリジェンス(3)』(丹下道/幻冬舎バーズコミックス リンクスコレクション)感想【ネタばれあり】

恋するインテリジェンス (3) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (3) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス  (3) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (3) (バーズコミックス リンクスコレクション)

 
丹下道先生の『恋するインテリジェンス(3)』の感想です。
今回、国際情報統括官組織のメンバーが一気に大量増加。
目の保養以外のなにものでもない。
あと、凄い特殊性癖も次々に炸裂。
萌えるというよりも、口をあんぐり開けてながら、ひたすらページをめくる事しかできませんでした。
 

『恋するインテリジェンス(3)』(2016年3月24日発行)

あらすじ

財務省の官僚・志山円は、同じく財務省勤務の恋人・土門統英が、円を溺愛する義父・志山次官と何かと張り合う事で、頭を悩ませていた。
そして、義父への挑発を止めるまでキスはお預けとしたために、ついには土門ともめてしまう。
そんな中、N田町の陰の実力者・中富剛昭自由共和党顧問の屋敷に呼ばれた円は、そこに集った政治家達からアブナイ接待を強要されてしまい……。
土門は円の危機を救う事ができるのか?(「数式は鷹に恋をする 2」)
 

総評

政治家のおっさん&じーさん達が超絶キモい(一応褒めてます)。
彼らの言動一つ一つがとてつもないインパクトで、夢にまで出てきそうな不気味さ。
あながち「そんな荒唐無稽な」と言い切れないのが複雑で、人間の醜い欲望を目の前に突きつけられた気分。
そして、魑魅魍魎共に翻弄される、美しき官僚達が倒錯的&エロい。
丹下先生、読者が変な性癖に目覚めたらどうしてくれるんですか!?(今さらか……)
 
怖気の走りそうなおじさん達の言動に毒された後は、今回初登場した国際情報統括官組織の麗しき面々を拝んで、メンタル回復に勤めましょう。
どのキャラも個性的で、彼らそれぞれのお話が気になって仕方がない。
中でもとりわけ強烈なのが秋草室長。
眼帯しているし、やりたい放題なところや危うい雰囲気が「この人、本当に官僚か!?」と思わないでもないですが。
純情な眞御はともかく、あの超然とした先森ですら翻弄されていますからね、侮れない。
この時点では、TCなのか、それともBCなのかも曖昧だし、興味は尽きません。
 

恋するインテリジェンス class:rookie 001.5

武笠×深津の、いまだに微妙な空気を醸すカップリングが主役。
武笠、予想以上に強大な財閥企業の御曹司でビックリ。
おまけにバックグラウンドが、これまた異様に作りこんである。
第1巻で鳥もちくっ付けられたり、針生×眞御のHをデバガメさせられた時は、こんな属性てんこ盛り人物だとは思いませんでした。
もっとたたき上げのキャラだと……。
キメキメのジョジョ立ち(?)にも笑う。
カッコいいはずなのに、どうしてこんなに可笑しいのか!?
あと4L&馬並み……、まあ、前巻のブツを見せられるとね、むしろそれ以上あったんじゃないかと……。
深津の前に、大げさではなく塔のようにそそり立っていましたから。 
 
一方、深津は今回貧乏キャラまで付与された。
美形で品のある登場人物が、実は赤貧洗うが如しなのは、古くは『山田太郎ものがたり』(森永あい)など、正直珍しくはない。
だがその設定が廃れないのは、やはりギャップによる楽しさが普遍的だから。
武笠家の持ちビル(?)と深津の慎ましやかな家(私はこれでも十分だと思いますが)の対比や、一人寂しく晩御飯をすする深津の姿が、悲しくも面白かったです。
あと武笠のために、四日分の食事代つぎ込んで一枚の下着を買ってしまったのも健気。
深津は元々美人さん&ツンデレで好きなタイプの受けなんですが、今回で彼の新たな魅力に開眼。
武笠と深津が本格的にくっつく話が待ち遠しくなる、そんな回でした。
 

Call me PAPA

実の親を亡くした円が志山次官に引き取られ、親子間の愛情を徐々に育んでいく物語。
志山夫妻に実子ができて不安になったり、敬愛する義父の後を追って官僚の道を選ぶ円の姿に涙。
ショタ円は「カワイイは正義」の権化だし、志山次官はとても温かい人柄でホッコリするし、志山次官の奥さんも竹を割ったようなイイ性格をしているし、普通に良い話のはずなのに……。
なぜか『恋するインテリジェンス』界隈だと異彩を放ってしまうのが不思議。
 
志山次官も可愛い円が選んだ恋人が、よりにもよって土門のように一癖も二癖もあるような人物なんだから、心配にもなりますよね。
さすがに麻酔銃用意するのは、倫理的にどうかと思いますが……。
土門も「父の日のプレゼント」とか、「既成事実」とか、呼吸するが如く煽るのやめぇや(笑)。
 

数式は鷹に恋をする 2 前編

土門と志山次官、高スペック男共が繰り広げる極めて低レベルな戦いに、円の頭痛の種の絶えない。
おまけにこのぶっ飛んだ世界観の為、考えも及びませんでしたが、男性同士で付き合っているというのも、かなりのリスクなんですよね……。
……って、あれ、正直、その辺、どうなんだろう?
皆、あまりにもあっけらかんと男同士でチュッチュしているから……、N国のスタンダードがよく分からん。
職務中のはずの某事務次官が、溺愛する息子に「パパの方が(恋人より)カッコイイ」と強制的に言わせようと必死な姿に「こんなN国が、この期に及んで男×男ごときで目くじら立てるか?」と疑問を呈しつつ。
とにかく、何らかのリスクがあるんだと、自分に強く言い聞かせる。
「おまえと付き合っているという事実が、いったい俺にどんなダメージを与えるって?」の円が毅然として格好良かったし、土門の珍しいテレ顔が見られたので、ここは良しとする。
 
後半は罠にはまり、気持ち悪い政治家達に捕まった円。
いやぁ、ホント嘘でも大袈裟でもなくKI・MO・Iです。
 
挙句の果てにノーパンしゃぶしゃぶとな!?
 
その昔、ワイドショーを騒がせた、無茶苦茶懐かしいキーワード。
このネタをボーイズラブに使おうという、丹下先生のセンスに脱帽。
そして、しゃぶしゃぶを見るたびに、円の奇麗な生足を思い出して、ニヤついてしまいそうな自分を殴りたい。
 

数式は鷹に恋をする 2 後編

ノーパンしゃぶしゃぶだけでも「うわぁ……」とドン引きですが、この化け物共のセクハラは留まるところを知らず。
もういちいち書くのもおぞましいので控えますけれど、「土門、早く円を助けに来て!!」と、読者である私ですら涙目状態。
 

今はちょっとすれ違ってるけど、土門が、そうきっと、今動いてくれてて、全部、穏便に片づけてくれる。

 
そこへ期待に違える事なく、土門が颯爽と登場。
なんとハリウッド映画並みのカーアクションで。
とりあえずこの作品に関わる人間全員(読者含む)、「平穏」という単語の意味を、50回ぐらい辞書で調べてきた方がいいと思う。
これ、下手したら死傷者出てましたよね(笑)。
 
まあ、土門も円の事に関しては歯止めが効かないと、以前から自己申告してましたけれどね。
ここまでとは、さすがに予想もしませんでしたが……、とりあえず円にちょっかい出すヤツは問答無用で「Go to hell!!」なのは了解しました。
あと志山次官と張り合ってしまうのは、劣等感ゆえだったというのが、なんだか可愛い。
 
身を挺して円を守った土門を目の当たりにして、志山次官も思うところがあったようで(彼の地位をもってしても、政財界の黒幕には太刀打ちできなかっただろうから)。
「れ…れ…れ、れ、礼を…言う…」が、すっごく嫌そうで噴き出しましたが。
 

あなたの大切な円さんは、僕が命に代えてお守りします、必ず。

 
こんな台詞を親に向かって堂々と宣言されたら、志山次官でなくとも認めざるを得んわ。
円への愛の言葉も誠意に溢れていたし(敬語なのが厳粛な雰囲気を醸し出していて、より一層トキめく)、王子様キャラの面目躍如。
濡れ場の言葉責めは、完全にオヤジ入ってましたけれどね。
よりにもよって、円の羞恥を煽るためのシチュエーションに利用されたと知ったら、志山次官も憤死するんじゃないか?
 
土門というキャラは、今まであまりにもキマリ過ぎていて、逆に内面を推し量りづらかったんですが、今回は彼の意外な魅力満載でした。
円があれほど惚れるのも分かるなぁ。
 

初恋のシュヴァルツリステ

タイトルのシュヴァルツリステ(schwarze Liste)はドイツ語で、英語で言うところのブラックリスト。
法務省検事(34)×警備課長(38)の幼馴染同士。
年下攻めだぜ、きゃっほ~い。
年齢も男盛り同士で美味しいです、むしゃむしゃ。

彼らもまた、積年の想いをごじらせちゃった系男子。
『恋するインテリジェンス』の8割方がそれですが、個人的には大好物なので一向にかまいません。
それどころか、どんどんお替りプリーズ。
わんこそばぐらいのスピードで来てくれても、一向に構いません事よ。

受けの楚和がとにかく可愛くてなぁ……、一見クールなのに、攻めの鷹見への初恋と童貞を引きずる38歳がいじらしい(童貞なのは生涯覆らなさそうですが)。
エスコート役に、鷹見にどことなく似た庵上を選んでしまうのもね。
自分の魅力をまったく理解していないのも……、受けにありがちですが、よく今まで最後のボーダーラインを死守できていたなと。
鷹見も初恋の楚和が美し過ぎで、理想がエベレスト級になっているなら、なぜその思いっきりの良さで、本人にアタックをかけないのか……。
この国、男同士でもほぼ問題ナッシングだし、ぶっちゃけ開き直った者勝ちなんだから。
 
濡れ場に関しては、第三者に見られながらという、こちらも特殊なシチュエーションですね。
いちいち指示出し&実況中継するおじさんが半端じゃなくグロテスクなんですが、反面、何だか高揚してしまうという……、私も立派にTHE ヘンタイの仲間入りだ。
初体験がこれなんて、楚和が気の毒でなりませんが、その辺りは鷹見とのこれからの行為で、おいおい塗り替えていって下さい。
 

描き下ろし・Cupid film ~press record~

国際情報統括官組織の第118期官&第128期官揃い踏み。
いずれ劣らぬ美形揃いでウハウハ。
今まで以上の勢いで、この摩訶不思議ボーイズラブ天国が広がっていくのを予感させる。
個人的には、オドオドした木菜会梨緒が気になります。
 
そして、どう贔屓目に見ても堅気じゃない雰囲気の室長・秋草の動向も見逃せない。
あのやり手の先森ですら冷や汗たらたら流しているし。
割と受け攻めが明白なこの世界で、どちらか判然としない佇まいの時点で只者ありませんね(何その判断基準)。
BC達をお薬でどんどん沈めていく姿がコワい。
 

俺が飲めって言ったら、お前は黙って飲むんだよ。

 
いっそ清々しいほどのパワハラ、ありがとうございます。
 
後半は、お薬で前後不覚になった眞御を、針生がハメ撮り。
いや、「お勉強」と称しつつも、明らかに楽しんでますよね、知ってる。
一巻につき一度は、針生の「眞御ちゃん、はあはあ(ハート)」を聞かないと物足りない自分も、かなり重度の病。
惜しむらくは、素面に戻った眞御タンが、己のあられもない姿を見て、恥じらうのを見られなかった点。
それは針生が独り占めですか……、ちくしょう、針生め……(ハンカチ、ギリリと噛みしめつつ)。