ボーイズラブのすゝめ

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『恋するインテリジェンス(2)』(丹下道/幻冬舎バーズコミックス リンクスコレクション)感想【ネタばれあり】

恋するインテリジェンス (2) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (2) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (2) (バーズコミックス リンクスコレクション)

恋するインテリジェンス (2) (バーズコミックス リンクスコレクション)

 
丹下道先生の『恋するインテリジェンス(2)』の感想です。
男達の欲と野望が渦巻くKヶ関の恋愛模様を描いたオムニバス形式の本シリーズ。
断言しますが、相当奇天烈な1巻ですらまだ序の口でした。
2巻は弾け具合がさらにパワーアップしています。
ちなみに1巻の感想は↓。
kashiwamochi12345.hatenablog.com
 

『恋するインテリジェンス(2)』(2015年4月24日発行)

あらすじ

N国外務省の内部組織・国際情報統括官組織では、今年もCⅡSET(第二種特殊諜報活動実習)=色仕掛けで情報を得る任務のための実習のバディ組み合わせが発表される。
主任分析官・針生篤の下に就く笠原亮吾の相手役は、新人では一番人気の深津秀一。
外見は大変好みだがいかにも経験豊富そうな深津に、今ひとつ乗り気になれなかった笠原だが……。
初めての実習で見た深津の初心な姿に、強い欲望を覚えてしまう。(表題作「恋するインテリジェンス class:rookie 001」)
 

総評

美麗なキャラクターと読者の想定をはるかに超えた設定が紡ぎ出す、摩訶不思議ワールドは健在。
しかし、1巻もかなり斜め上を行く展開の連続でしたが、それでも「フフフ…奴は四天王の中でも最弱…」 だったというか(?)、今振り返ると猫パンチレベルだったのだなと、茫然としてしまう。
N国外務省も国際情報統括官組織も確かに架空の産物ですが、これ、私が知っている国家組織と明らかに違い過ぎるから。
むしろ、私が住んでいる地球という惑星のお話ですらないのかもしれない。
その位ぶっ飛んだ作品世界。
だが決して駄作などではなく、むしろその正反対。
たとえば男子高校物など、男子の集団を扱った作品はボーイズラブでも枚挙に暇がないが、ここまで徹底した世界観を作りあげているのはご立派。
他の作品では味わえない中毒性に、私もすでに虜です。
 

恋するインテリジェンス class:rookie 001

1巻で伏線の張られていた笠原×深津の話が満を持して登場。
前回と同じく、針生×眞御カプに振り回されている笠原。
「この人は意外に常識人なのかな?」と少しでも思った、そんな甘ちゃんな自分を殴りたい。
ラストの凶器、なにこれ、新手のこけしかな?(すっとぼけ)
個人的には、ゲーム開発会社・アトラスの作品に登場するマーラ様が脳裏を過りました(あながち間違ってない)。
 
dic.nicovideo.jp
 
丹下先生の独特な構図センスも冴えわたる。
そりゃあ、こんなモノを目の当たりにしたら、さすがの笠原も怯えます。
 
一方、そんな笠原ですが、一見物慣れていそうなのに、実は初な風情にキュンキュン。
丹下先生、こういうタイプの受けを描くのが非常にお上手なので、ツンデレ大好物な私としてはたまらん、ヒャッホー!!
 
そして、実習風景にも爆笑させていただきました。
この真面目にバカやってる感が最高。
初実習ならではの緊張感や居たたまれなさもありつつ。
いっぱしの男達が「ちょっと男子~!真面目にやってよ~!!」と言いたくなるような、男子中学生か高校生的なノリ(?)でガヤついているのも可笑しい。
 

恋するインテリジェンス operation 001

この組織が真面に仕事をしているのも、初めてみたような気がする。
武器売買や核開発で黒い噂のある中東の王子やVIPを集めたパーティー、入国管理局の予想外の乱入など、設定や舞台装置も作りこまれていて、とにかく壮大な事が行われているのが分かる。
結局、最終的にはお得意の寝技に持ち込むんですけれどね。
 
今回はとにかく眞御ちゃんの魅力満載でした。
1分1秒が成否を分ける、そんな任務を指揮する凛々しさと有能さ。
針生が女性ターゲットを口説いている時に見せた焼きもち。
針生を助けるため、カリム王子に身を任せた時の健気さと艶っぽさ。
カリム王子も若干19歳にして、とんでもない出会いをしてしまいましたね。
 
針生が狂気と紙一重の嫉妬に、身を震わせるのも分かります。
「おまえ、射精してたよな」という台詞には、「あぁ、この人達の浮気のボーダーラインってそこなんだ……」と目から鱗が落ちましたが。
いつもはメロメロな針生が、冷徹な態度で眞御を責めるのに、少しドキドキしてしまったけれど……。
 

眞御ちゃんっ(ハート)

 
そんな雰囲気も長くは続かなかった。
まあ、眞御ちゃんバカな針生が、本気で別れられるはずないですけどね。
それにしても、今回シリアスとギャグの振り幅がいつも以上に激しくて、本気で吐きそうになる(褒めてます)。
なんだか行先の見えない、超高速ジェットコースターの先端に、体を括りつけられているような感覚。
 
後半のお仕置きHも、眞御が懸垂訓練用のバーに吊るされるという、フェティシズム全開な代物。
針生の鼻血も絶好調(むしろこれだけ垂れ流していては、不調に陥るのでは?)。
眞御が「申し訳ない」を連発したり、針生とモスクワのブローカーの関係を引きずっているのも可愛すぎました。
 
ラストで、眞御がカリム王子を誘惑した時の動画が晒されて、囃し立てられているのにも笑いました。
「これ、セクハラなんじゃ……」とかツッこんだら、本作では負け。
この動画、CⅡSETの教材にされる事請け合い。
 

愛と狂気のラボラトリー 前編

麻薬取締官・岩倉圭祐×国立医薬品衛生研究所副主幹・奥名治広の先輩後輩カプ。
岩倉、年下とは思えない貫禄ですけれどね。
この鉄面皮でおバカな発言しているのがツボに入る。
恋をこじらせた奥名のてんやわんやも可愛い。
 
この二人の恋愛を成就させるために、秘密基地のような研究所に十数人が閉じ込められるという、映画並みに大掛かりなシチュエーションを作ってしまった丹下先生にまず拍手。
主人公であるの奥名と後輩・岩倉のもどかしい恋愛に悶えつつも、随所に盛り込まれたネタ要素にツッコミが追い付かない。
むしろ全編通して、ネタしかない(断言)。
ツインテ・年齢不詳の神子主幹の奇行(明らかにマッドサイエンティスト)。
神子主幹好みの美形を集めた神子ハーレ部。
男同士の葛藤などどこ吹く風で(本シリーズにそんなものは求めていない)、ほいほいくっ付いていく麻取×研究員達。
極めつけは、神子主任が開発した乳腺活性薬・パイテックス(もう、ネーミングからして……)。
食量足りないから研究員達(あまねく受け)の出した乳で糊口をしのぐって、丹下先生の発想力、どうなってるんですか!?
まさかボーイズラブで、人体からの搾乳を拝む日が来るとは想定外でした。
岩倉がやたらねちっこく奥名のミルクを飲むシーンでも、私はどんな特殊プレイを見せられているのかと……。
 

愛と狂気のラボラトリー 後編

母乳(正確には父乳なのでは?)、朝ごはん、直接授乳とパワーワード連発。
まさにタイトル負けしない「愛と狂気」。
隔離状態も日数を重ね、乳を巡る駆け引きや奪い合いなど、皆、いよいよオカしくなっています(今さらか)。
 

如月さんの分も全部、俺が飲んでしまえばいいだけのことですから。

 
岩倉も……、お前、明日地球が終わるぐらいの深刻顔で何言ってるの?
登場人物達の止め処ない珍発言&珍行動を、読者はそっと見守り続けるしかありません。
 
そして肝心の岩倉×奥名は、数年のわだかまりが嘘のように、あれよあれよという間にゴールイン。
ボーイズラブ作品ではおなじみの「もっとちゃんと話し合おうぜ」的な誤解も無事解決。
体格差が凄いから、最初からもの凄い
奥名の色っぽさゆえの岩倉の早漏は……、まあ、そのうち何とかなるでしょう(投げ遣り)。
 
ラストの落ちは……、何となく予想の範囲内でしたが。
狂気の楽園は、まだまだ終わらない。
岩倉と同じく、神子主幹が開発した新たなお薬の効能も気になります。
 

描き下ろし・Iwakura's Counterattack

本編に引き続き(神子主幹の独断で)研究所に閉じ込められた面々。
現状、奥名の悩みは、岩倉のHがねちっこい事(超平和)。
確かに、まだ20代のくせに、岩倉はやる事なす事オヤジ臭いというか……。
奥名の反応が初々しくて可愛いから、いじめたくなる気持ちは分かりますけれどね。
 
麻取の連中も相変わらずろくでもない事を考えていて……、よく探してきたな、そんなエロい椅子。
文武両道の精鋭集団、頭脳と行動力の見事な無駄遣い(我々にとってはご褒美ですが)。
脳内は思春期少年も真っ青です。
研究員(受け)達に殴られても、まあ、自業自得かと……。
岩倉は空手有段者の奥名に殴られて、その程度で済んだんだから御の字でしょう。
 

描き下ろし・Mao's Counterattack

酔った眞御の天然魔性っぷりに、さすがの針生もそろそろ貧血になるのでは?
そんな眞御を見て、読者である私も「眞御タン、カワイイよぉ、はあはあ(ハート)」って、ハッ、なんだか針生に憑依されていたような……、気のせい?
 
まだほとんど何もしていないのに、欲情した眞御を見ただけで即顔射した針生に爆笑。
「愛と狂気のラボラトリー」の岩倉といい、今現在、丹下先生の中では早漏がトレンドなんでしょうか?
まあ、針生も猛者揃いの国際情報統括官組織を震撼させた絶倫王だから、眞御を抱くのに一切問題ありませんが。
針生のすげぇ腰使いに、萌えるというよりも、彼らの体が心配になるのは私だけでしょうか?