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『恋人を可愛がる方法』(青山十三/新書館ディアプラス・コミックス)感想【ネタばれあり】

恋人を可愛がる方法 友達を口説く方法 (ディアプラス・コミックス)

恋人を可愛がる方法 友達を口説く方法 (ディアプラス・コミックス)

恋人を可愛がる方法 (ディアプラス・コミックス)

恋人を可愛がる方法 (ディアプラス・コミックス)

 
青山十三先生の『恋人を可愛がる方法』の感想です。
前作で危機を乗り越えた柳浦と鬼塚。
特に大きな事件は起きませんが、その分、二人のバカップルぶりを楽しめる一冊。
ちなみに前作の感想は↓。
kashiwamochi12345.hatenablog.com
 

  

『恋人を可愛がる方法』(2019年5月1日発行)

あらすじ

前作で仕事と恋の狭間に立たされた柳浦でしたが、その騒動も一件落着。
恋人らしい時間を満喫する柳浦&鬼塚。
そんなある日、大学受験を控えた柳浦の従妹・光岡真雪が上京してくる。
どうやら彼女は柳浦に対して、恋心を抱いている様子。
大人の余裕を心掛けつつも、真雪に対してついつい複雑な心境を抱いてしまう鬼塚だったが……。
 

総評

バカップル万歳。
派手さはないが、主人公二人の心の流れを丁寧に追った優良シリーズ。
今回も適度な緊張感を保ちながら、二人のイチャイチャを楽しめる一冊になっています。
相手が迷った時、もう一人が導き手となれる二人の関係性は、見ていて気持ちが良い。
日増しに互いへの想いが募っていく心の変化も、既刊と違わず丁寧に描かれていました。
特に執着や嫉妬など、恋愛のドロドロとした部分を初めて知った柳浦の戸惑いにはニヤニヤ。
 
当て馬ポジションの真雪ちゃんもイイ味を出していました。
若いのでまだまだ未熟な面も見受けられますが、そのまっすぐさに好感が持てる。
彼女のおかげで、二人も色々と気づく事ができたしね。
鬼塚、柳浦、真雪の大中小コンビがワーワー言っているシーンにほっこり。
彼女には無事に大学受験を終えてもらって、またバカップルを引っ掻き回しに来てほしい。
 

恋人を虜にする方法 第1話

柳浦が新しいTVゲームにご執心な為、やきもきする鬼塚の話。
ハイハイ、バカップルバカップル。
前巻の騒動で配属が変わって、勤務時間が9時ー5時になった柳浦と、彫り師として忙しい鬼塚はすれ違いの生活に。
鬼塚のためにスタミナ満点の料理を作ってくれる柳浦は理想の恋人ですが、コントローラーを握る手は止められない。
ゲームに一喜一憂する柳浦は可愛いんですが、恋人としてイチャイチャしたい鬼塚の複雑な男心。
しびれを切らした鬼塚は、柳浦を背後から抱きしめて、イケナイいたずらを仕掛けます。
鬼塚の「俺は柳浦さん攻略するから」若干親父クサいなと思いましたが(笑)。
実は柳浦がゲームを止められない、ちょっとした理由があったんですが……、ホントこの人、どこまで天然&可愛いの?
ゲームに登場するライオン丸みたいなキャラに「オニヅカ サン」と名付けてるのも含めて……、本当にご馳走様でした。
 

恋人を虜にする方法 第2話

鬼塚が勤めるタトゥースタジオ「月山」に立ち寄った柳浦。
今回は柳浦が生まれて初めての嫉妬に苛まれる話。
作中でも言われていますが、鬼塚、かなりの人たらしだからなぁ。
親分気質で優しいし、他者との対話や付き合いを疎かにしないし。
そんな彼と周囲の人間のやり取りを見て、柳浦は今まで味わった事のなかった感情に戸惑う。
恋に落ちたら、奇麗な想いだけではいられないから。
しかし、そんなドロドロとした己の心を、柳浦は当然厭う。
そんな彼に対して、鬼塚が……。
 

俺は嫌だけど、付き合うのやめる?

 
まあ、彼らの事だから大丈夫だろうけれど、ちょっとドキッとする台詞ですよね。
 
ちなみに、柳浦と月山の面々が酒盛りで飲んでいたメスカル酒。
アルコール度数は最高60度ぐらいあるらしい。
ちなみに一般的な日本酒の度数は大体15度。
それを一本空けて、多少酔ってはいてもスタスタ歩ける柳浦、酒豪すぎ。
 

恋人を虜にする方法 最終話

前回、鬼塚に「付き合うのやめる?」と言われて、柳浦が出した答え。
 

嫌です!!!

 
もちろん、即答。
そんな柳浦をギュッと抱きしめる鬼塚。
この、恋心に疎い柳浦を甘やかしすぎず、かといって邪険にせず、鬼塚が優しく引き上げてくれる感じが凄く良いんですよね、この二人。
鬼塚も今まで散々苦労してきたからこそ、他者に対して優しくなれる。
彼の経験は決して無駄ではなかったと思える。
柳浦が見せた嫉妬心&独占欲も、健気で罪のないものだし。
向けられた鬼塚にとっては、柳浦がただただ可愛くて仕方がない。
 
気持ちの高まった二人は、ラブホに立ち寄ります。
これも柳浦にとっては、おそらく初めての経験?(ニヤリ)
恥じらいつつも、鬼塚に気持ち良くなってもらいたい彼の姿が大変キュートでした。
そりゃあ、鬼塚もメロメロになります。
そして柳浦をアンアン言わせたい鬼塚のオヤジ度が急上昇しているような……、気のせい?
 

恋人を可愛がる方法 第1話

「鬼塚さん!」
「んーー」
「今日ってヤりますか?」

 
相変わらず意表を突いてくる柳浦に、冒頭から爆笑。
内に秘めずに、分からない事は鬼塚にちゃんと質問してくるのは以前に比べて良い兆候ですが、ちょっと素直過ぎなのでは!?
まあ、受ける方は色々準備があるから大変なんだろうけれどさ。
結局、即ヤってしまうバカップル。
準備する暇もありませんでしたね(笑)。
 
そんなある日、柳浦の従妹である光岡真雪が、大学受験の下見に上京してくる。
華のJK。
顔のパーツや雰囲気が柳浦そっくりなのが可愛い。
しかし真雪ちゃん、恋心を抱いている模様。
そしてちょっとした手違いから、柳浦達のアパートに泊まる事になりますが……。
女子高生に見られてはならないものを慌てて隠す二人には笑いましたが。
鬼塚、大人の余裕を装ってはいても、真雪の存在や柳浦との関係を偽らなければならない事に複雑な想いを抱えてしまいましたね。
 

恋人を可愛がる方法 第2話

悪気がないとはいえ、真雪に柳浦の「友達」扱いされるとキツイ鬼塚の様子から始まる第2話。
一方、真雪も柳浦に似て、人との付き合い方が少し不器用なんですね。
なんでも早急に白黒つけようとしてしまうのは、若さゆえか……。
これは鬼塚も放っておけず、大学の学園祭に付いていく事になります。
本当は真雪と一緒にいるのも辛いんですけれどね。
 
良識を持った大人として、進路や友人関係について真雪にアドバイスを送る鬼塚は、さすがの貫禄という感じ。
真雪も彼を信頼し始めますが……。
勢いがあまり過ぎて、柳浦さんラブ勢なのがバレたーーー!!!(付き合っている事は辛うじてバレませんでしたが)
 
その頃、当の柳浦は、鬼塚の枕をクンカクンカしながら幸せに浸っていましたとさ。
  

恋人を可愛がる方法 第3話

前回の展開により、真雪の中で株が大暴落してしまった鬼塚。
片や、鬼塚の布団の上で、彼の香りに包まれながら欲情する柳浦。
ぶっちゃけ、今回はほぼ彼の自慰シーンが占めていました。
第1話と第2話では、鬼塚の焦燥がメインでしたが、第3話では柳浦の鬼塚に対する渇望が止め処なく溢れています。
自慰をしていても、思い浮かぶのは鬼塚の事ばかり。
いつもは冷静な柳浦が我慢できずに耽溺してしまう様はたまらなくエロイんですが、それと同時に本人も制御ができないほど鬼塚に惚れている事が伝わってくる。
以前の「恋人を虜にする方法 最終話」では今ひとつ認識できなかった、己の利己的な感情や凶暴な独占欲もきちんと受け止め……。
柳浦の鬼塚に対する気持ちが、どんどん膨らんでいくのを感じられる回でした。
 

恋人を可愛がる方法 最終話

「アンタなんかに渡さない!!!」という真雪の言葉と、鬼塚の想いが重なる。
恋をすれば、大人も子供も関係なく、余裕ぶってなんかはいられない。
柳浦を手放すなんて鬼塚には到底できないんだから、彼ができるのは真雪と正面から向き合う事だけ。
それが鬼塚が彼女に対して示せる最大限の誠意。
 
翌朝。
前日とは打って変わって、大人げない鬼塚にくっそ笑いました。
まあ、そうそう簡単には割り切れませんよね(笑)。
それにしても、でっかい鬼塚とちっちゃい真雪が張り合っているのって、外野から見てるとなんだか和むなぁ。
二人はぜーぜー言ってるのに、一人だけのほほんとしている柳浦のマイペースさよ……。
彼女の気持ちに気づかぬ柳浦は、鬼塚との仲の良さを見せつけるような発言をしてしまう。
それに傷ついた真雪は、鬼塚に冒険を吐いてしまいますが……。
ここで毅然と彼女を嗜める柳浦も、部屋を飛び出した彼女を追いかけるように、柳浦を送り出せる鬼塚も男前ですね。
 
あらためて二人っきりで話し合う事になった柳浦の真雪。
ここで読者にとっても意外なエピソードが明かされます。
鬼塚、ブレないなぁ。
柳浦、『友達を口説く方法』以前に、すでに鬼塚の事を知っていたんですね。
しかも鬼塚にすら話していないなんて……、なんだかとても可愛らしい秘密を覗かせてもらって得した気分。
登場当初は無表情だった柳浦が、そんな彼が初めて鬼塚の部屋を訪れた時に何を思っていたのか、想像するだけで萌えます。
 
真雪も本当は鬼塚が優しい人間だって充分分かってるんですよね。
ちょっと遅い初恋に邁進中の大好きなお兄ちゃんを応援してしまう姿が、良い子良い子と掻い繰り回したいぐらい健気なんですが……。
 

付き合ってるなら、最初から言って!!

 
ホントにね。
ここに「お兄ちゃんを泣かしたら絶対許さない」ウーマンな小姑爆誕。
ひと悶着あったけれど、ワチャワチャしている三人が可愛い。
鬼塚、両手に花ですね。
 
「絶対受かる!!また来るし!!」という捨て台詞を残しつつ、真雪ちゃんが帰ってしまったのは寂しいですが、バカップルの日常がまた戻ってきました。
今回の件で、柳浦もさらにはっちゃけてしまったようで(笑)。
お互い「好きになってくれてありがとう」と感謝できるのは素敵な事ですね。
ラストは往来でイチャイチャする二人で〆。
 

描き下ろし・もっと恋人を可愛がる方法

真雪ちゃんがいる間はできなくて、悶々としていた二人のご褒美シーン。
鬼塚への好きという気持ちが膨れ上がり、それを持て余してしまった柳浦の積極性に鼻血。
ちょっと前は、柳浦が自分から率先して「好き」と言ってくれるなんて考えられなかったから、鬼塚は嬉しくてたまらないでしょうね。
あと鬼塚の言葉責め(というほど過激なものではありませんが)に、オヤジ化疑惑が再浮上。
まあ、二人が幸せなら、それでオールオーケー。