ボーイズラブのすゝめ

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『愛しのXLサイズ』(重い実/一迅社gateauコミックス)感想【ネタばれあり】

愛しのXLサイズ【電子限定描き下ろし漫画付き】 (gateauコミックス)

愛しのXLサイズ【電子限定描き下ろし漫画付き】 (gateauコミックス)

愛しのXLサイズ (gateauコミックス)

愛しのXLサイズ (gateauコミックス)

 
『愛しのXLサイズ』の感想です。
タイトルと表紙、正直キワモノ臭がしますが。
でも、そこで尻込みしていては勿体ない良作ですよ、皆さん。
シュールなギャグ、ストーリー、エロの塩梅が絶妙。
騙されたと思って、お試し版だけでも読まれる事をおススメします。
 

『愛しのXLサイズ』(2019年2月15日発行)

あらすじ

二十歳になった山本蒼は、人生初の彼女を作るため、大学の日本酒研究会に入会する。
だが、そこは山本が求めていた飲みサーとは程遠く、日本酒好きな男達が集う真面目で地味な会だった。
実は酒に弱い山本は、講習会で食べた日本酒入りチョコレートが原因で酔っぱらってしまうが、そこで彼を介抱してくれたのが同級生の小林哲也。
料理も上手く、男前な小林は如何にもモテそうだが、意外な悩みを抱え、彼もまた山本と同じく童貞をこじらしていた。
酔っぱらった勢いもあり、小林と寝てしまった山本。
それが二人の恋の始まりだった。
 

総評

いや、タイトルと表紙、如何にもですよね。
ここで手に取るのを躊躇してしまう方がいるのも分かる。
実は私もそうでした。
ものすごく気になりつつも、横目でチラチラ眺めて早数日。
結果、ポチって大正解&大歓喜。
勝利したボクサーの如く、思わず拳をあげてしまったよ(もちろん心の中で)。
 
予想に違わずXLは小林くんのアレのサイズであり、もちろん内容的にはアホエロギャグな側面もある本作。
けれどもあに図らんや、主人公の二人が予想以上にピュアな恋をしていて、こちらもキュンキュンしてしまった。
一気に色々と過程をすっ飛ばしてしまっている山本くんと小林くんだけれど、二人の織り成す日常が可愛くて仕方がない。
 
下ネタもよほど上手にやらないとお寒くなってしまいがちなんですが、本作の場合は独特の間合いと言葉選びのセンスで、読者を抱腹絶倒させてくれます。
読了感としては、岡田あーみん先生や魔夜峰央先生が直球のBLを描いたらこんな感じなんじゃないかなと(さすがに両先生の領域までには至っていないけれど)。
本作の良さを文章で伝えるのってなかなか難しい。
とにかく読んでみて下さいとしか言えない。
ちなみに私が本作から受けた効能としては、アレがアナコンダへ速やかに脳内変換されるのを、自分でも止められなくなりました(効能?)。
さすがに小林くんのアナコンダは白抜きされていますが、相当に凶悪なブツのようで……、山本くん、大変だろうけれど頑張れ。
 
あえて不満を挙げるとすれば、日本酒研究会の面々などがもっとお話に絡んでくれれば、さらに面白さが増したのではないかと思いました。
実際、数少ない脇役である城ヶ崎妹は、短い出番ながらも個性を発揮していたし。
まだまだ二人の緩い毎日を見ていたいので、その辺も合わせて是非続編を希望したいです。
 

愛しのXLサイズ 第1話

ボケ×ボケなので、冒頭から読者のツッコミが最初から追いつかない。
まず丸出しで、ソファに座っている小林くんだけで噴き出す。
どうしてそうなった!?
スゴイ間抜けな構図なのに、哀愁を感じてしまうのはなぜ?
小林くん、今まで色々切ない想いをしてきたのが察せられる。
一歩間違えば、彼の場合は性行為が医療行為になってしまうから。
 
山本くんも負けず劣らずおかしい。
「素股=ガキの頃、近所のダチとよくやるやつ」って、明らかにダチに騙されてます、それ。
そして「アナ小ン林くん」に見られる謎のネーミングセンス。
また酔っぱらっているとはいえ「もうここまで来たら、使命感みたいなもんだ。絶対、こいつのアナコンダを挿れる。挿れてみせる」って、何、そのスポ根並みの意地。
とりあえず、小林くん、童貞喪失おめでとう。
ラストではなぜかちゃんとピュアな恋愛が始まっていて、この回、乱丁起こしてるんじゃないかと本気で疑いました。
 

愛しのXLサイズ 第2話

交流を深めていく山本くんと小林くん。
なんだかんだと言いつつも、普通のボーイズラブらしいイベントもこなして、小林くんも「やさしくするから」などとテンプレ台詞を呟いてくれるが、いちいち山本くんのモノローグがぶち壊してくれる(褒めてます)。
結局、エロになだれ込んでしまうんですけれどね。
こういうシーンの山本くんは文句なしにエロ可愛いですが……、そりゃあ、小林くんも滾ります。
後半の二人きりの礼拝堂のシーンも萌えました(彼らの学校はキリスト教系?)。
小林くん、優しいよね。
山本くんの痛み=ケツの痛みなのはどうかと思うけれど。
二人の無自覚な両片思い、美味しかったです。
 

愛しのXLサイズ 第3話

小林くんの理想の嫁=黒髪ロング(あくまで山本くんが勝手に設定)を想像して、不安定になる山本くん。
しかし黒髪ロングがゲシュタルト崩壊し、ケツの穴を太陽光線に当てる(!?)など、シリアスになり切らないのが本作らしい。
小林くんはなんだか一生懸命普通のBLに持っていこうとしているんですが、相方の山本くんがそれを許してくれない。
一応彼女持ちだった経験もあって、小林くんの方が恋愛に関しては真面な感覚を持っているような気がします(彼の場合はアナコンダがすべての元凶。)。
 
そんなある日、山本くんは小林くんの理想の彼女を発見(あくまで(以下略))。
日本酒研究会に所属する城ヶ崎先輩の妹・撫子さん。
確かに(山本くんの)要望には叶っていますが、明らかに彼女の命は別の人でしょう(この鈍さが今まで彼女ができなかった原因?)。
しかも色々と人間離れしてますよ、撫子さん(震)。
兄について語る姿が、なんだか貞子チック。
そしてコメディのはずなのに、貞子に負けず劣らず業が深いですね。
それにしてもここまで聞いてしまうと、城ヶ崎先輩の眼鏡の下や今までのアレコレも非常に気になります。
 
撫子さんから、実は山本くんが男女問わずモテる事を聞いてしまって、動揺を隠しきれない小林くん。
もう彼は自分の恋心に気づき始めていますね。
一方、またまた酔っぱらった山本くんは、小林くんにおんぶされて夢見心地。
よくこんなに可愛らしくて、今まで素股で済んでいた不思議。
あのボケっぷりで、無意識に周囲を蹴散らしていたんだろうな。
 

愛しのXLサイズ 第4話

前回に引き続き、山本くんを背負っている小林くんですが、なんとなくシリアス調にも関わらず何気にフェティシズム全開。
酒造の息子とはいえ、麹を作る時に欲情しちゃさすがにヤバいでしょう!?
前回、山本くんが全方位にモテモテな事を知り、焦った小林くんは酔っぱらった山本くんを問い詰めるが……。
 

収まりどころのない不憫な大蛇が他にもいたら山本くんはどうするんだ。

 
ボーイズラブの王道展開なのに、台詞のチョイスが明らかにオカシイから(笑)。
いつもは山本くんのボケが際立っているけれど、ここに来て小林くんが怒涛の追い上げ(?)を見せてくれる。
とりあえず、学校はサバンナじゃないです。
 
嫉妬ゆえ気が気じゃない小林くんの代わりに、今度は珍しく山本くんが軌道修正してくれた。
晴れてジレジレ展開を乗り越えた山本くんと小林くん。
真っ赤な顔の二人にもニヤニヤ。
山本くんの勢いがなければ、こうは行かなかったかも。
そう言えば、この二人の関係が始まったのも、きっかけは山本くんの思いっきりの良さだった。
ラストのご褒美シーンもラブラブ。
「まだ指4本しか挿れてねぇんだ」には地味に戦慄しましたが。
私が今まで読んできたBLを集計すると大体平均3本(?)なんだけれど、4本でまだ途中ってどんだけ凶暴なブツなんだ!?
  

愛しのXLサイズ 第5話

甘い雰囲気にを堪能する山本くん。
そりゃあ、小林くんは料理上手だし、マメだし、優しいし、居心地良いですよね。
 

「ち、ちなみに小林くんの好きって、どんな感じなの…」
「どんなって、山本くんを見てるだけで胸が痛くなって、息が苦しくなる感じだよ」

 
極めて真っ当な愛の告白なのに、本作だと噴き出してしまうのはなぜ!?
 
あらためて両想いになった二人。
ところが小林くん、三日経っても山本くんに手を出してくれない。
 

ヤらんのかい!

 
山本くん、瞳孔開いてる開いてる!!
さっきまでの乙女チックな展開はどこに行った!?
しかし、小林くんにも手を出せないわけがあった。
 

「俺、半分しか挿れてないんだよ」
「…は?」
「俺、2回目から山本くんに半分しか挿れてないから」
「半分…?うっそマジで…」

 
小林くんの哀愁漂う告白を聞いて、読者としては笑っていいのやら、泣いていいのやら……。
山本くんも、実は素面で小林くんのアナコンダの本領を味わった事がなかったという、とんでもない事実が発覚。
そりゃあ、さすがの山本くんでも後退りたくもなるわ……。
いや、本人達にとっては(特に山本くんにとっては)泣きたくなるほど重要な問題ですよね。
一方、私の腹筋は(物理法則を無視した)潮吹きシーンで崩壊したけれど。
 
ここで小林くんの思い遣りを汲み取った山本くん、男気を見せましたね。
なんとか頑張って小林くんを受け入れる。
愛がなきゃ無理ですね(無茶しやがってとも思ったけれど)。
正直、このシーンのHは萌えるというよりも、出産シーンを見せられているような感慨に近かったですが。
小林くんの「おじいちゃんになっても山本くんとセックスしていたいから、山本くんの肛門は大事にしていく」には爆笑しつつもホッコリ。
これ、ある意味、プロポーズの言葉?(すごくこの二人らしい)
体から始まってしまった関係ですが、心も少しずつ結びつき始めた山本くんと小林くん。
小林くんのエスパーっぷりが凄まじすぎるけれど、アナコンダがなければスパダリの素養ありありだからな。
二人の同棲を示唆しつつのラストも良かったです。
 

描き下ろし

二人のラブラブ同棲生活。
まあ、ぶっちゃけヤりまくりです。
山本くんの試すような言葉を、一蹴する小林くんが男前。
互いのファーストネームを初めて呼ぶのも甘~い。
あと小林くんと撫子さんが共闘しているのに笑った。
モテる想い人を持つと何かと大変ですね。
 

『愛しのXLサイズ@姫はじめ』(2019年4月26日)

愛しのXLサイズ@姫はじめ (gateauコミックス)

愛しのXLサイズ@姫はじめ (gateauコミックス)

 
『愛しのXLサイズ』の続編。
今のところ電子書籍版のみですが、短編という事でお値段もリーズナブル。
年末年始の山本くんの帰省により、2週間ほど離れ離れになった二人。
畢竟、若い二人の情熱は止まらないよねという内容。
とにかく山本くんがエロ可愛すぎ。
そりゃあ、小林くんも鼻血を出す……、というか「鼻血出そう」というのはボーイズラブでも良く見る展開だけれど、これだけ垂れ流しの攻めも珍しいですね。

彼が麹作ってるシーンにも爆笑。
良い話風の中、第4話の伏線(?)も見事に回収。
とりあえず、小林くんはトイレにでも行ってこい。
 

山本くんのことを考えながら造ってるよ。

 
確かに嘘は言っていない(事実をぼかしているだけ)。