ボーイズラブのすゝめ

ボーイズラブ系のコミックス&小説の感想を中心に。

『きのう何食べた?(7)』(よしながふみ/講談社モーニングコミックス)感想【ネタバレあり】

きのう何食べた?(7) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(7) (モーニングコミックス)

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

 
『きのう何食べた?(7)』の感想です。
今回は、ケンジがはじめて筧家でお正月を迎えたエピソードが印象的。
イイ感じでまとまりましたが、シロさんのご両親の事だから、これからももの凄い爆弾を投げてきそうな予感。
 

『きのう何食べた?(7)』(2012年12月3日発売)

総評

#50は数字としてもキリが良く、シロさんとケンジにとっても区切りの回になりました。
読者である私も感無量。
ケンジの涙と、彼の頭を抱き込むシロさんの姿も良かった。
名もなきモブがどーでもいい事をガタガタ言ってますが、二人は互いの気持ちを大事にしていけば良い。
それが結果的には、ご両親や周囲の幸せにも繋がる。
連載当初から世間体をずっと気にしてきたシロさんですが、この巻からはかなり吹っ切れた一面も垣間見える。
それも、自分の意見を曲げてというわけではなく、ごく自然体で。
慣れもあるでしょうけれど、ケンジを大切にすることが彼にとって極々当たり前になったのと、二人のパートナーとしての絆の深まりが感じられる。
こちらの頬も、思わず緩みまくります。
 

#49感想

シロさん&ケンジが、自宅で小日向さん&ジルベールと共にクリスマスを過ごす話。
いつもはジルベールに点の甘いケンジですが、今回ばかりは変な負けん気を発揮。
やたらと気合を入れてお出迎え(料理はすべてシロさんが用意していますが(笑))。
結局、自分がパートナーにどれだけ愛されているかを見せつけたいだけという……。
ケンジもジルベールもそういう点では似た者同士だから。
結果。
シロさんが一番ノロケてた~~~!!!(本人無自覚)
ラストの超勝ち誇ったケンジと、ジルベールの悔しそうな表情に笑う。
 
今回はジルベールが言うところの”デブ製造機みたいなメニュー”。
ジルベールはやはり偏食というか、わがままというか、小日向さん、大変そうだな~(他人事)。
しかしなんだかんだ言いつつ、一番食ったのもジルベール。
「憎しみで人が殺せたら…!!」って、それ、本家のセリフ!!(爆笑)
個人的にはアールグレイのアイスが美味しそうだなと思いました。
果物じゃないからミキサー使わなくていいのも楽ちんだし、生クリームなどをわざわざ用意しなくてもコンデンスミルクと砂糖でアイスとシャーベットの中間ぐらいになるのが良い感じ。
 

#50感想

5巻の#39で伏線の張られた、ケンジが筧家のお正月にうかがう話。
ヘアスタイルも整え、ネクタイを締めて堅苦しくしているケンジがなんだか新鮮。
そして予想はしてたけれど、滅茶苦茶ぎこちない……。
シロさんとお母さんがキッチンに逃げ込みたくなる気持ちが分かります。
 
しかしその後、シロさんの高校生時代のアルバムを見ながら、ケンジとお父さんが会話するシーンはとても感動的でした。
シロさんをフォローして、ケンジはつくづく良い伴侶だなと。
その後、シロさん達が作った鶏のから揚げなどをおかずにして、初めて4人で食卓を囲む。
去年のお正月もトンカツだったので、筧家をシロさん&ケンジが訪ねた際は、これから揚げ物が定番メニューになっていくのかな?
 
食事中、お母さんがお父さんに裏へ呼ばれて、なんとも言えない幸せな顔で戻ってくる。
てっきり先ほどのケンジによる良い話を伝え聞いたのかと思ったら……。
えっ、一番不安だったのそこなんだ!?……、というオチ。
さすがシロさんのご両親、またまた斜め上にぶっ飛んでるな~~~、で終わるのかと思ったら……。
よしなが先生、これは卑怯ですよ……。
最後に泣かせてくれました。
二人の表情から、これまで送ってきた人生の酸いも甘いも、すべてが滲み出ている。
これは若いキャラクターでは出せない味。
シロさんはケンジに出会えて、ケンジはシロさんに出会えて、本当に良かったと思えた物語でした。
二人に幸あれ。
 

#51感想

シロさんが富永夫妻に鍋をご馳走になる話。
 

どこん家も、みんな、何かしらはあるって事だ

 
すべてが上記の一言に集約されている話。
けだし至言。
能天気な富永さん一家にも色々あったんですね。
笑顔の人が皆、苦しみを知らずにいきているなんてありえない。
それを肝に銘じておけば、誰だってもっと他者に優しくなれると思うんですが(私も含めて)。
とりあえず、富永さんの娘さんもどうぞお幸せに。
 
今回のメニューはうどんすき。
具はタラ、鶏モモ、カキ、わたりがに、ホタテ、アサリ……etc.、とても豪華&良い出汁が出そう。
最終的にはこういうシンプルな料理が一番美味しい。
 

#52感想

ケンジが勤める美容室・フォームに新しいエステティシャンが入ってきた話。
腕良し。
接客態度良し。
めでたしめでたし……、かと思いきや。
オチが怖すぎました。
玲子さん、故意にやってそうな気がしてならないんですが。
後から「妹島様、来月またおまちしております(ハート)」のコマを見返すと、背筋がひんやりと寒くなります。
軽くホラー。
事情を知っているケンジの胃も痛くなる(対してタブチくんの図太さが羨ましい)。
ヒロちゃんのフルネームも、何気に今回が初登場だったんですね。
もしかしたら、よしなが先生は連載開始当初から、このエピソードを用意してらっしゃったんでしょうか?
 

#53感想

シロさん&ケンジが買い出し帰りにオサレなカフェに行く話。
連載開始当初はケンジとの仲をちょっと知られただけでキレてたシロさんが進化(?)したなと感慨深い。
 

相方としては、なるべくお前にハッピーでいて欲しいと思うじゃん?
だから別に全然いいんだって!

 
こういう台詞を何の気負いもなく言えちゃうシロさん、マジイイ男(天然とも言う)。
その裏にはケンジに少しでも貯金させようという涙ぐましい努力があるのですが。
 
今回のメイン料理は、卵とアスパラ入り海老チリ。
我が家も海老チリには卵を入れる事が多いです。
辛みがまろやかに、また嵩増しにもなります。
 

#54感想

ジルベールの優雅なる一日。
デイトレーダーだったんですね、彼。
血眼にならずそこそこな金額で手を引き、ゆる~くやってるのがジルベールらしい。
典型的なその日暮らし。
確かに根無し草っぽいっというか、気まぐれな猫っぽいというか。
作る料理は、意外と”男の料理”という感じのガッツリ系。
この間は凄いキャラ弁作っていたのに……、あれは余所行きメニューですか?(プライド高そうだから)
しかし、”ジルベール風”とつくだけで、なんだかエレガントに見えるのはなぜなんだぜ?
小日向さんは、いつもの如く振り回されていましたね。
『ノルウェイの森』のくだりからの立て板に水な指示出しが、彼らの日常を表している。
まあ、この二人が何をやっても、最早SMプレイにしか見えないんですけれど。
 

#55感想

シロさんのお母さんが、亡くなった友達の遺産を整理する話。
法律マンガと料理マンガの華麗なる融合(?)。
保証人になったというから、お母さん、また変な事に手を出しっちゃったのかと若干心配になりました。
少子高齢化や未婚率の上昇により、こういうケースはこれからも増えそう。
決して他人事ではありませんね。
最終的には「見て見ぬふり!!」になっちゃってますが(笑)。
シロさんが弁護士を目指した理由の一つも、その辺にあったんですね。
マイノリティという自覚をもって、若い頃から人生プランについて色々と考えていたんだろうな。
自分も、もうちょっとしっかりしないと。
シロさんは弁護士、ケンジは美容師と、様々な人々と触れ合う仕事だから、物語のバリエーションを広げやすいんだなと再認識した回でもありました。
 

#56感想

突然繁忙期に入ったシロさんを、ケンジが甲斐甲斐しく世話する話。
ケンジは元々尽くすタイプだから最初は楽しそうなんだけれど、シロさんとすれ違うのはやはりツラい。
しかも、この二人が二週間もの間、一緒にご飯食べてないってヤバくない!?
二人がたとえ大ゲンカしたとしても、これほどの危機感は覚えません、多分。
シロさんもかなり消耗していて、ケンジの作ったオムライスを泣きながら食べていたのが、気の毒ですが可愛かった。
箍が外れているのか、なんだか感情が駄々洩れ。
 

やっぱふたりで食べるとおいしい~~~

 
これぞ心理!